「偵察衛星で北朝鮮の北東部、吉州で地下核実験用のトンネルと軍や高官用と見られる観閲スタンドが用意されてる。近いうちに地下核実験が開始されるようだ」
 5月5日、ニューヨークタイムズなどが米政府高官の話として発表した。
 
「もし、北朝鮮が核実験をすれば日韓両国など東アジア地域に大量の「死の灰」が降り、深刻な放射能汚染を引き起こす。
 また、北朝鮮が核兵器5〜6個分のプルトニウムをすでに保有し、それを兵器化する技術がある」
 5月8日、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が述べている。
 北朝鮮の核実験はあるのかないのか。
 アメリカ政府のやり方に詳しい日本の国会議員がいう。
 
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「この時期、北朝鮮が核実験をするなんて本当かなと思う。
 また、この時期に安倍晋三幹事長代理がワシントンに行ったとき、リチャード・ローレンス国防副次官補が
『北朝鮮が日本海に向けて2発のミサイルを発射したが、新型ミサイルの可能性がある。
 北朝鮮はノドンミサイル、中距離弾道ミサイルのほか、第3カテゴリーのミサイルの開発を進めている。今回のミサイルは北朝鮮の新しいシステムのミサイルの一環である』
 と語ったという。
 こういった極秘の話は通常、政府間情報でやりとりするものだ。一議員がワシントンに行ったからということでは出ない話。
 アメリカはポスト小泉としての安倍晋三幹事長代理に花を持たせようとして喋っているだけだと思う。
 アメリカは何かやるときは必ず戦略を持って発表するものだ。
 北朝鮮の地下核実験の問題も同時期に吹き出すなど、何かおかしい。
 これらの話は中国向けのアピールだろう。
 つまり、米国は中国に『北朝鮮問題をなんとかしないと大変なことになる。北朝鮮問題は中国問題だ』
 といってるのだろう。
 北朝鮮の核実験も新型ミサイルもアメリカの中国に対するブラフにすぎない」

 だが、一方で
「北朝鮮は経済破綻で死にものぐるいだ。軍にも不満がたまり金正日も統制が聞かなくなっている。北朝鮮はやけくそになって何をするかわからない。この際、北朝鮮を叩いてしまえ」という話もある。
 北朝鮮と米国はどこまで行くのかチキンレースはなかなか降りられない。

 94年、クリントン政権は北朝鮮が核問題を持ち出したとき、米軍は青森県の三沢基地からF-16を飛び立たせて、北朝鮮の核施設を攻撃しようと計画。実施直前に中止した経緯がある。このときの作ったのが「作戦計画5026」だった。

 その後、米軍は99年に韓国米国連合司令部が「作戦計画5029」を作成した。
「作戦計画5029」は5つの要素からなっている。
1,北朝鮮国内にクーデターなどの内政が発生。
2,北朝鮮による人質事態の発生。
3,大量の脱北
4,生物、化学兵器など大量破壊兵器の反乱軍奪取事件発生。
5,洪水、地震など大規模な自然災害による人道支援。
 
「作戦計画5029」は03年に米韓安全保障協議会(SCM)で両軍首脳部が合意した。 しかし、05年1月に韓国の国家安全保障会議(NSC)が反対。破棄を目指せとして現在は中断中になっているが、今年の秋にもSCMと再協議するようだ。

 ところで、アメリカのNBCが5月6日、物騒なニュースを流した。
「国防総省は昨年9月以来、グアムとインド洋のデイエゴガルシアににF-15やB2スティルス爆撃機を常駐させ、核施設除去の緊急作戦計画が発動されれば、いつでも北朝鮮空爆を実施できる態勢にある」

 米軍は北朝鮮が核実験を行った場合、すぐさま核施設を攻撃すると韓国と協議中だが、韓国は国内が「戦争状態」になるため、大反対しているのが現状だ。

 現在、米軍のトランス・フォーメーションは急ピッチで行われ、西太平洋の中心はグアム島に結集中だ。
 現在、グアム島のアンダーセン空軍基地には  
 スティルス爆撃機B2
 通常通常爆撃機B52
F−15/D イーグル
 F−15/E ストライクイーグル
 F−16 ファルコン
 の各攻撃機。
 E−3 エーワックス 早期警戒機
 KCー135 空中給油機
 などが待機中。
 
グアム島は朝鮮半島から2500〜2600キロの距離にある。
 B2の航続距離は約10000キロ。そのほかの戦闘機は2000キロ前後で空中給油を受けながら、巡航速度で飛べば3時間弱で行ける距離だ。
 攻撃目標は寧辺周辺の核関連施設と今回発見された吉州か。
 最初、EAB6電子戦機が北朝鮮のレーダー網を攪乱。E-3エーワックスからの指示を受けたF−15などの攻撃機がミサイル防衛基地や核関連施設にピンポイント攻撃を仕掛け、後に続いたB2スティルス爆撃機からは衛星誘導爆弾が発射されるなど攻撃は数十分で終わる。近代ハイテク兵器で構成された米空軍は全機無事アンダーセン基地に帰還するという計画だ。
B2は99年5月19日未明、コソボ紛争参加のためミズリー州ホワイトマン空軍基地から2機が実戦初参加。13時間かけてユーゴスラビア上空で空爆の後、ホワイトマン基地へ一直線で帰還した。
 その後はデエゴ・ガルシア島基地からアフガニスタン爆撃、イラク戦争にも参加と、実戦経験は十分にある。グアムとから北朝鮮へはひとっ飛びと言うところ。
 
 北朝鮮攻撃には沖縄や三沢基地からも出撃できるが、日本は極東の重要拠点。米軍は日本を巻き込むことはせず今後も日本に駐留し続ける。
 米軍は今後の展開として対中国戦略を練っている。
 沖縄は中国に近すぎるので台湾、韓半島からも2400キロあるグアム島を中心に軍事力を展開する。
 西太平洋にキティホーク1隻だった空母をグアム島へもう1隻配備するし、無人偵察機グローバルホークを配備。さらに空の支配者・Fー22ラプターも配備が決まっている。
Fー22ラプターは模擬戦で実戦では配備以来一度も撃墜されたことのないFー15イーグル5機に対し1機で勝利したという無敵の攻撃機だ。
 また、日本海へはイージス艦を配備する。

 自衛隊はグアム島でF−4ファントム、F−15イーグルの空中給油訓練を実施しているし、今年の夏には自衛隊によるF−4ファントムでの空対地ミサイル訓練を行う予定。
 韓国からは在韓米軍の70%が削減される。グアム島は日米ともに重要な基地になりそうだ。

 米軍が北朝鮮に報復攻撃を加えるのかどうか、それに対して中国がどう動くのか。
 6月とも噂される北朝鮮の地下核実験は予断を許さない。

文責・辻野匠師