「1年生の衆議院議員がホテルの大広間で資金集めパーティを開催するなんて前代未聞だ」
 一年生議員で有名人と言えば片山さつき、佐藤ゆかり、杉村大蔵くんである。
 その中の一人、片山さつきが3000人はいるというホテル・ニューオータニ「鶴」でパーティを開催したのだから永田町はビックリなのだ。

 しかも、パーティ前座の講演にはナベツネこと読売新聞主幹の渡辺恒雄が登場するという豪華さであった。
 「鶴の間」は300人以上はいる。5月には自民党83会のパーティが開かれた会場。 つまり自民党新人議員82人がしゃかりきになってパーテイ券を売り、会場に1200名ぐらい集めた会場である。
 そのパーテイ会場を半分に仕切り右半分は「ナベツネ講演・椅子席」
 左半分は立食の懇親会場にしてある。

 5時30分から始まった渡辺氏の講演は壇上に自分のイメージ服という真っ赤なジャケットに身を包んだ片山さつきと渡辺恒雄が座る。
 会場に設けられてた椅子は約500席は満席。立ち見も出る盛況である。

 講演に先だって武部勤幹事長が挨拶。
「小泉チルドレンと言えば色々と揶揄されることもある。昨年、解散から2週間で100人の候補を選んだ。私と二階俊博・経産大臣で苦労したが最初が肝心と小泉総理に相談して片山さつきさんを選び出した。
 これが功を奏したのか83人の当選者が出た。中にはすごい人もいる。この一人が片山さつきさんだ」

 武部幹事長は「次の会合があるから」と退場。

 続いて少し紅潮した片山さつきが
「私は大蔵省ー財務省で財政審議委員会にいた。その時、渡辺恒雄さんが審議委員としておられた。渡辺さんは私の両親と同じ戦争世代。ご意見番として数年前から悩んだりしたときには渡辺さんに相談したこともある関係」
 だと紹介。

 これを受けてノーネクタイの渡辺講演が始まった。
「小泉総理がやったことで一番良かったのはクールビズというノーネクタイだ。私はかねてから女性の薄着が羨ましかったが小泉総理のお陰でネクタイから解放され喜んでいる。」 と先ずはノーネクタイの状況を弁解する。
 片山さつきとの関係は
「私は財政審議委員を20年ぐらいやっている。席の順番はアイウエオ順。私は「わ」だし年寄りでしかもタバコを吸うから一番最後の隅に座っている。その隣に座っていたのが片山さつきさんだ」
 片山もフムフムとうなずく。
「片山さんは防衛担当の主計官となり05年1月号の中央公論誌上で大胆な防衛削減を提唱した。
 今、北海道にロシア軍が上陸、これを強固な戦車、重火器を要する陸上自衛隊が迎え撃つ等という事は誰も考えてない。こんな強固な陸自4個師団がいる必要はない。そんな予算はミサイル防衛などに回すべきだと言うのである。 
 私も同感である。片山さんに会社に来てこの件を貰い話し合った事もある。
 鍵は日米同盟、情報戦ー情報収集能力である。自衛隊4万人の削減は不可能ではない。
 こんな事を考えていた片山さんはアダルトレディであり、チルドレンではないよ」
 片山はこれを聞いてにやっと笑う。

 渡辺氏の話は千鳥ヶ淵拡張を示唆する靖国問題、消費税引き上げを含む財政債権問題からアジア外交問題へと膨らむ。北朝鮮問題に至っては、
「イラクでピンポイント攻撃をしてイラクを撃滅したアメリカ軍にそのエネルギー、技術で北朝鮮を無くしてくれればいいのだが・・・。
 とにかく日本は北朝鮮がミサイルを撃って来たときにはどうするのかをきちんと考えておく必要がある。
 今は実験ミサイルのようだがいずれ核が搭載されれば怖い」

 片山さつきへの注文はに
「片山さんは施策家である。政治家は大声ー表芸は得意だ。
 しかし、小技の裏芸ー根回しが大事。
 目立つ事をやる必要はあるが、時には小声で根回しすることも大事なのだ。
 大政治家は表芸とともに裏芸を使ってきた。
 片山さんには女性初の総理大臣になって頂きたい」
 と45分間の講演を終わった。

 6時30分からは左半分の懇親会が開始され客は次々と懇親会場移る。
 入場口に片山さつきと仕立ての良さそうなダークスーツを着た夫・片山龍太郎が立ち客に頭を下げている。

 6時35分、会場が暗くなり1分間、「片山さつきの活動を紹介するイメージ映像」が流された。
 その間、片山夫婦は壇上に上がる。片山龍太郎は終始緊張している。 
 客は約700人。新人議員としては異例の多さ。

 会場が明るくなると第2部懇親会が始まった、
 与謝野馨財政・金融担当大臣は、
「片山さんは一昨年の予算のときから知っていた。財務相の主計官として頑張っており、こういう人がいると防衛庁にも苦戦するんだろう。
 頭はいいし、美人だしねー。防衛庁は専守防衛に徹するしかなかったようだ。  
 まさか衆議院に出るとは思わなかった」

 中川秀直政調会長
「当選1回でこんな大きなパーテイをやられ、しかも小泉総理にも苦言を呈する渡辺恒雄さんが講演する。普通では引き受けるとは思えない渡辺さんが後援を引き受けるぐらいだから片山さんに対する期待が大きいんだろう。
 片山さんとはこちらのご亭主と結婚する以前から知っている。
 実は片山さんは若い頃、我が地元・広島の税務署長を2年間やったことがある。当時、片山さんは地元の商工会議所の連中やの連中相手に酒もよう飲むし、議論もやったが最後には片山さんに言いくるめられた。
 片山さんが地元を去るときには皆片山派になっていた」

 冬柴鉄三公明党幹事長
「与党で財政削減案をつくった。通産省も片山さんらの協力で大胆な政策を作成した。今後、片山さんがやることは古巣の財務相に向かって予算を分捕ってくることだね」

 これを聞いた片山は体をよじって苦笑する。

片山さつき挨拶
「私は9月11日に当選。これは小さくて効率的な日本を作ると言う改革のDNAがあるしそれをやり遂げる使命がある。
 私は政治家としては1年生だが25年間大蔵省ー財務相で物事がどう決まるのかを見てきた。
 そんな中で大改革の時には政治が責任を撮るべきだと思った。
 小泉総理から『選挙には改革の旗を掲げ、必ず勝ってこい』と激励された」
 とよどみなくハキハキと挨拶をした。

 乾杯の音頭は二階俊博経産大臣
 壇上には松あきら、西野あきら、松岡利勝、藤野真紀子、森山真弓、渡辺喜美ら15人位が壇上に上がる。
「片山さんはやがてサッチャーになるという人もいる。
 しかし、サッチャーになるには選挙が盤石で無ければならない。政治家は選挙区をおろそかにしてはならない」
 選挙の大事さを語る。

 会場には野村監督夫妻も訪れるなど交際の幅の広さを思わせる。
 
 片山は一年生といえど佐藤ゆかりらとともに先輩議員を押しのけて公然と議論を提起する。
 これが先輩議員には「正論を言うのも分かるけどやはり年功序列と言う物も大切なんだ」 と煙たがられる原因でもある。

 また、83会ー小泉チルドレンの中川康宏代議士からは
「マスコミは片山さつき、佐藤ゆかり、杉村大蔵らを取り上げているが、おれ達は彼らのバックダンサーじゃないんだ」
 と目立つ人物を取り上げるマスコミにも問題が有るという。

 ともあれ40歳過ぎても「聖子ちゃんヘヤー」を変えない片山さつき。
 頑固なのか、変人なのか。

参考:もう一人の「アダルトなチルドレン」・片山さつきさんのパーテイ

取材・辻野記者