最近、うちの記事をリンクしてれた「Life is beautiful」さん。サブタイトルに「永遠のパソコン少年の理科系うんちく 」とあるように、ITやPC、さらにweb2.0についてかなり詳しい。しかも詳しいだけでなくて、その視線と、視点は、ろくでもない雑誌記者としてはかなり共感できるものがある。

 その「Life is beautiful」さんのエントリーに「ブロガーが広告主に気を使うようになったら終わりだ」というのがある。
 ほほう!これはいける。IT音痴のボスでもこれなら理解できる。そこで、ボスにこのエントリーをよむようにすすめたら、「おもしろい」となった。
 そこで、ゴールデンウィーク中にボスから、あたえられた命題が、「広告主がブロガーに気をつかって一人前」である。

 ただ、問題なのは、この人は、おもいつきで「タイトル」をだして、「これやれ!」というが、肝心の中身については、「うん?まかせた!」というパターンだ。

 そこで、

「ブロガーが広告主に気をつかう」という表現は、「記者が広告主に気をつかうようになったらおしまい」という我々サイドにひきつけて書くことにする。

 新聞も、雑誌もその収益の半分近くは広告収入でまかなっている。テレビにいたっては全部か?新聞社も出版社も、広告部というのがあって、そこでせっせと広告をあつめる。これが、時には、「広告からの圧力」となって、現場の編集や、現場の記者に圧力をかけることがある。
 ところが、現場の編集や、記者は気骨のある人が多いから、「ふざけるな!なら、その広告主を洗いざらい調べてやる」とやぶ蛇になってしまうこともあるから、賢明な広告主さんは、編集現場に介入しない!という姿勢をとるし、それでこそ、良識ある日本企業のありようだとおもう。だいたい、よく介入する広告主さんというか、企業は、だいたいその後、なんらかの不始末をおこしたりして、没落していくという傾向があるから、日本の資本主義は少しは健全な側面がある。

 ここをみるだけでも、企業のコンプライアンスの有り様がわかるからおもしろい。

 しかし、問題は、現場だ。「気骨のない編集なり、気骨のない記者」がふえてきたら、報道コードでないけど、自主規制してしまう。
 これはボスの表現をかりると「共倒れ現象」といって、実は、ネットの登場でやや不況業種の仲間にはいりつつある活字紙媒体産業は、その兆候がすこしあらわれつつある。

 これもweb2.0なのだろう。

 ここで冒頭の命題にもどる。「ブロガーが広告主に気を使うよう」になったら、これはおしまいというよりも、「共倒れ現象」に足を一歩ふみいれることになる。
 なんせ、web2.0だ。

 広告主=企業が、ダイレクトに消費者=ブロガーさんとパイプをもつ時代だ。
 商品開発から、マーケッテイングは、それまでは専門の人がやっていたけど、web2.0では、そうした仲介するシステムから、ダイレクトにつながることができるシステムができつつある。

 よく「消費者の声」という表現があるけど、これは「市民の声」という表現と同じぐらいに、いい加減で曖昧なものはない。
 広告主にとって、都合のいい声こそ「消費者の声」であってほしいし、ブロガーさんにとっても、自分に都合のいい声こそ「市民の声」なんて、くくりたくなる。
 ま、ろくでもない雑誌記者も同じで、うちの都合のいいことばかりいってくるひとが「読者の声」であってほしいと、正直、おもってしまうのだ。

 しかし、この関係をぶちこわすのが、web2.0でないかと、うちのボスあたりは睨んでいる。そこで、本当はよーわかっていないのに、あちこちで、「web2.0がすべったの、転んだの」と喋っている。

 おしゃべりの特徴として、どんどん喋る。まちがってもいいから喋る。まちがっていたら誰かが批判するなり、間違いを指摘してくれる。それを素直にきいて、修正してさらに喋る。・・・・という能力を身につけたら、「一人前」とボスは真面目な顔していう。だから、「間違っていいから、喋ろ、記事を書け!」というわけだ。
 そこで大事なことは、他人の批判なり、間違いの指摘をうけいれることができるだけの、度量と謙虚さなんだけど、記者は「謙虚さ」だけでは、いきていけないから、ま、いろいろと確執が生じるわけだ。
 「人間は間違える動物である」(ボス談)という大前提を、どうみにつけるかなんだね・・・これは。

 そこで、ブロガーさんと広告主の関係になる。
 web2.0では、消費者さんと実はダイレクトな関係が生じる。消費者は、実は商品開発者であり、広告そのものであり、マーケットであり、ときには株主となり、ときには厳しい批判者であり、糾弾者であり、応援者でもあるわけだ。

 これにきづいた広告主と、これに気づかない広告主の差は、多分に、ここ2-3年で明確な差となってあらわれるとおもう。
 では、これにきづいたブロガーさんと、これにきづかないブロガーさんの差はどうなるか?ま、ブロガーさんというのはたくましいから、すぐに軌道修正するとおもうので、実はあまり心配していない。

 というわけで、
広告主がブロガーに気をつかって1人前」という結論になんとか、たどりつくことができました。

以上

担当:その他