サーベラス問題に関しては、当ブログは以下のエントリーをしてきた。

 南青山3丁目は無法地帯?関係者名公開中・・・・
 この程度で弾が飛んでくるのか?
 記者の矜持を殺すな・・・・

 さらに問題になった、糸川正晃衆院議員への毎日新聞の元記者大平誠氏が取材したテープの内容を、本ブログに掲載した件に関しては多数から問い合わせがあった。
 毎日新聞社内の調査取材チームも、当方の松永他加志へ調査依頼をしてきた。しかし、松永はその調査協力を拒否した。また、複数のマスコミから松永へ、もしくは当方の事務所へ取材依頼がきたが、松永の方針により、一切の取材には応じていない。
 また、松永への原稿依頼、テレビ、ラジオへの出演依頼等があったが、これも松永の方針により、一切、応じていない。
 我々は、松永の方針により一切の沈黙をまもった。
 その間に、我々は、内々の取材を継続していた。米国ニューヨークへもスタッフを取材にいかせている。    
 そして、本件全体の流れをみていた。 まず、糸川議員への脅迫容疑でサーベラスと関係があるとおもわれる2人の人間が逮捕された。さらに、糸川議員を取材した大平記者は、毎日新聞から諭旨解雇をうけた。さらに、大平記者の取材協力者である画家・山本集氏への誹謗中傷もあった。

 この事件は、一見すると複雑な様相をしめしている。
 確かに当方の松永他加志が、大平記者の取材協力者である山本集氏から取材テープをうけとった。その意味あいも、取材倫理も、報道の有り様と、事件そのものの有り様も我々は熟考した。最終的に松永が判断した。反対意見もあった。しかし、多数決はとらなかった。
 その時点での決定事項は、「掲載にあたり釈明はしない。処罰・非難があればすべて、オレが個人で負う」(松永の方針)
 間違いなく、そのテープの概要を、当方の事務所のブログに掲載した。(本年1月16日)
 しかし、その数日後にその記事は削除した。これは、毎日新聞社や糸川議員、もしくはサーベラスから抗議がきたからではない。当ブログの運営会社のライブドアから警告が来たからでもない。
 自主的に松永が判断した。
 判断した最大の理由は、山本集氏から、「大平が自殺するといっている。さすがに自殺だけはさせられん。すまんが、ぶかっこうかもしれないが、削除してくれないか」という依頼によるものだった。
 断っておくが、松永本人も、また当方の事務所のスタッフも大平記者とは、過去も現在も面識はない。むしろ我々は、コンタクトをとることをさけてきた。いらぬ憶測を避けるためだ。
 それに機を会わせて、糸川議員脅迫問題では、サーベラスサイドと思われる「平和奥田」の元相談役、山元康幸容疑者や前滋賀県草津市長が暴力行為法違反(共同脅迫)容疑で逮捕されている。

 つまり、毎日新聞が書いた、大平記者の記事の正当性があきらかになりつつある。情報提供者、山本集氏の情報の正確さが証明されつつある。

 本件の問題の本質は、毎日新聞記者の取材テープの流出にあるわけでない。
 問題は、サーベラスが日本において、日本の暴力団をつかい地上げ行為をおこなったとされる事実。さらにそこには複数の日本の政治家が関与したとされる疑惑。さらにそれを追求した国会議員に対して恫喝行為がなされたという事実。
もうひとつくわえるなら、110億円という莫大な損害賠償裁判を、しかも、米国ニューヨークでおこしたサーベラスの意図。
 この4点が、最大の問題なのだと我々は理解したし現在も理解している。

 とすると、テープ流出事件はあくまでも傍流でしかないはずだ。

 しかし、この件は、いつの間にか、毎日新聞社内における情報流出問題、そして、大平記者の諭旨解雇ということだけがクローズアップされてしまった。
 この件をスクープした毎日新聞の最大の情報協力者である山本集氏の存在が、「元暴力団の画家」として明らかにされて、マスコミにさらされ、一人歩きした側面もある。毎日新聞社は、なぜ、最大の情報提供者であり、調査協力者でもある山本集氏をまもりきらなかったのだろうか?果たして、大平記者の行動は、死刑判決にひとしい、諭旨解雇という処分にふさわしいのだろうか?
 
 どこかで、何かが歪んだのだ。

 ちなみに、当方が掲載したとされる「糸川取材テープの内容」は、複数のブロガーさんの手によって転載、掲載された。しかし、そのほとんどは、毎日新聞社からの抗議により、削除されてきたという事実もある。

 ここにあらためて、この問題の「糸川取材メモの内容」を当ブログに掲載しようとおもったが、一部で現在でも掲載、転載されている事実から、我々は再掲載はしない。しかし、この「糸川取材メモの内容」は、本件全体を究明するためには、第一級の証言資料であることは事実である。
 現在、我々が確認している範囲で、掲載されているブログは

■ 糸川メモをネット掲載すると毎日新聞が因縁をつけてくるらしい
http://www.nikaidou.com/2007/03/post_34.html

 である。他にも独自のサーバーをもっているところでは掲載しているところもあるらしいが、我々は、心より謝意を申し上げたい。こうしたブロガーさんがいることによって、我々は次への取材ステップに踏み出すことができる。どこまでできるかわからないが・・・やるべきことはやる。改めて謝意もうしあげたい。

 

 本件を簡単に年表風に整理してみよう。ここには当事務所がしっている事実も追記した。基本は、毎日新聞、産経新聞の記事等を参考にした。

【平成18年】
1月12日 毎日の大平誠記者が東京・南青山の土地取引に関する疑惑を報道。
1月19日 サーベラスが毎日新聞を名誉棄損で提訴。
1月31日 サーベラスから派遣予定だった西武ホールディングスの取締役三人が辞退
2月14日 糸川議員が衆院予算委で土地取引について質問(国会議事録)
3月3日  糸川議員が福井市のスナックに呼び出され脅迫を受ける。
4月5日  大平記者が糸川議員を取材
5月上旬  大平記者が取材データを「取材協力者・山本集氏」に渡す。
  18日 糸川議員の事務所に不審電話
  19日 糸川議員の事務所に同様の不審電話
  29日 糸川議員の事務所と大平記者あてに実弾入りの脅迫状が届く。
6月22日 毎日が「国会質問を巡り糸川議員に圧力」と報道
11月15日 国民新党が「自民党が糸川議員に復党を打診」と発表。
12月1日 糸川議員がスナックの件で警視庁に被害届を出していたことが判明。
      国民新党が綿貫民輔代表と亀井静香代表代行あてに糸川議員の辞職を求める新たな脅迫状が届いたと公表。
12月5日 サーベラスが毎日新聞社と和解。
【平成19年】
1月   大平記者の協力者・山本集氏が当事務所の松永他加志に取材データを渡す
1月16日 当ブログに糸川議員の取材メモの抜粋を掲載。
  19日 大平記者から協力者・山本集氏を通じて削除を依頼してきた。それをうけて当ブログから該当記事を削除。
2月22日 糸川議員脅迫の件で建設会社相談役山元康幸容疑者(49)や前滋賀県草津市長が暴力行為処罰法違反容疑で警視庁に逮捕される。
  23日 毎日が取材データ漏洩を公表
      大平記者、諭旨解雇処分


 そして、このGWが終え、脅迫容疑で逮捕された山元康幸容疑者が保釈されたという情報もはいってきた。(未確認)

 さて、この事件では、一体、何が問題で、何が問題のすり替えとなったのか?
 この事件の舞台となった南青山3丁目の土地はその後、どうなったのか?
 サーベラス絡みの地上げ、国会議員への脅迫行為で逮捕者までだしながら、サーベラス、および関係会社はどうなっているのか?
 関与したとされる疑惑の政治家はどうなっているのか?
 さらに、この件をスクープした大平記者の最大の情報提供者である山本集氏はどうなっているのか?
 毎日新聞とサーベラスの訴訟(後に和解)には一体何があったのか?

 疑問は多々ある。
 我々の取材だけで、その全貌が明らかになるとはおもってはいない。
 しかし、我々以外に、このやっかいな問題を確実に取材している記者がいることもしった。さらに、このサーベラス問題に関して、複数のマスコミに情報提供者が現れてきている。それは義俠心にかりたてられた内部告発者であり、警察、司法、マスコミ関係者からの情報提供でもある。
 間違いなく、情報は漏れてきている。
 その情報の一部でも、できる範囲で、順次報告していきたいとおもう。さらに情報提供があれば、我々は喜んでうけたい。

 さあ、マスコミ関係者の皆さま。
 取材開始・・・・です。

 

文責:北岡隆志
監修:松永他加志