東京都港区南青山3丁目149−2の売買は、
 土地謄本をみると、

平成17年5月24日に北野組(北海道旭川市の建設業者)の持ち分2分の1が、平和奥田(滋賀県東大江市の建設会社)に売買。さらに同日に、サーベラス資本100%の昭和地所(東京都中央区京橋)の子会社・プロビデンス(大阪市中央区)にそっくり移転している。また、サーベラス傘下の「GAコーポレーション」(東京都千代田区)が、極度額25億円の根抵当を設定している。

 この売買を指摘した毎日新聞(2006年1月12日)の記事では、

「登記簿によると05年5月24日、北海道旭川市の建設業者が同区南青山3に2分の1持ち分として所有していた3筆の土地(計179・79平方メートル)を、滋賀県東近江市の建設業者にいったん移転をした後、同日中にサーベラス・グループ企業の「プロビデンス」(大阪市中央区)にそっくり移転した。この際、やはりグループ傘下の「GAコーポレーション」(東京都千代田区)が、極度額25億円の根抵当を設定した。
 複数の関係者によると、同日、都内の法務局に両建設業者、昭和地所の担当者、司法書士らに加え、暴力団と親しい関係者が集合。いったん東近江市の建設業者が8億3000万円で買い取った後、8億7000万円でプ社に転売。この際、暴力団と親しい関係者が買取額の約3%の仲介手数料を得たという」

 サーベラスの土地売買で登場する会社は、
 昭和地所(サーベラス資本100%)、プロビデンス(サーベラスグループ)、平和奥田、東京地所の4社。北野組。

 関係者に取材をすすめてみると、この土地の売買契約は、登記がなされた前日の平成17年5月23日、東京プリンスホテルのパークタワースイートルームでおこなわれた。
 時間は、午後8時から翌日の午前1時30分。
 参加者は、
 売り主である北野組側が、東京支社長を含めて他4名。
 買い主側は、
 プロビデンス側は営業部マネージャー 伊藤兵吾氏、営業部シニアマネージャー 平山雅教氏
 平和奥田側は取締役不動産事業部長 前田裕行氏、不動産部京都営業所所長 荒井宏之氏、相談役 山元泰幸氏。
 東京地所側は相談役 山元泰幸氏、顧問 竹中啓普氏
 昭和地所副社長で、国際興業副社長の河井一彦氏。
 他数名と、司法書士が立ち会ったという。

 注目は、一連のサーベラスの土地売買で中心人物となった、昭和地所副社長で国際興業副社長の河井一彦氏がたちあったこと。つまり、この取引はサーベラスサイドの取引であるということがわかる。
 また、後に、糸川正晃衆院議員への暴力行為法の共同脅迫容疑で逮捕された山元泰幸氏がたちあっている。山元氏は、平和奥田の相談役、東京地所の相談役という二つの名刺をもっていたことが判明している。

山元1

 

 

 

 

山元2

 

 

 

 

河井1

 

 

 

 

河井2

 

 

 

 

 

 

 では、この取引について、サーベラス側はなんと答えていたのだろうか?
 内部資料によると、この一連の取引について、
 昭和地所の河井一彦氏は、当時、こう答えていたことがわかった。

1.東京地所はサーベラスの三浦なる人物からの紹介と聞くが本当か

 いいえ。それは弊社および私の事実認識と異なります。
 貴殿は、弊社子会社である株式会社プロビデンス(P社)が行った南青山3三丁目の不動産売買取引(本件取引)における東京地所の仲介について言及しておられると拝察いたしますが、東京地所は本件取引に関し、弊社に案件情報を提供した数多くの不動産業者の中の一社であり、三浦氏より紹介を受けた事実はございません。具体的には、弊社と以前より取引関係のあった大手上場不動産会社より東京地所を弊社に紹介されたというのが事実であります。


2.東京地所が南青山三丁目(161、169、160−2、170−2、149ー2)の土地購入の仲介をした経緯は?河井氏が同社に依頼したのか?


 南青山三丁目169の土地については、上のご質問への同答においても言及いたしました大手上場不動産会社より紹介があり、P社が取得いたしました。その後、東京地所通じてその他の物件の売却情報が当社にもたらされました。よって、申し述べました通り、本件取引は大手上場不動産会社および東京地所からの当社への紹介案件であり、私が東京地所に依頼したものではありません。
 また、加えて申し上げれば、弊社は約7年におよび南青山三丁目に不動産を所有しており、該当土地に隣接する土地に関する売却情報は、日々、数多くの不動産業者から弊社に提供されております。本件取引もそれら多くの情報の中の一つに基づいて行われたものです。

3.上の土地の買収を進める理由は?サーベラス グループの意志で買い進めているのか?

 自社所有の土地を含め、その周辺に長期間更地のまま利用されていない土地がある場合、当該周辺の土地を購入し、遊休地を開発し、地域貢献するのがデベロッパーとしての仕事であり、当該土地、その近隣、およびその地区に対する新たなる価値を創造することが弊社のデベロッパーといての仕事と認識しております。」
 本件はそのような状況および理由において、当社は不動産デベロッパーとして30年超の歴史を有しており、弊社の手掛けた戸健開発・マンション・ビル等が該当地域に大きく貢献したものと自負しております。


4.周辺を含めて1500坪を地上げし、整形しようとしているのか

 ご質問の1500坪とは何を指しておられるのか分かりかねますが、既に申し述べましたとおり、日々弊社にもたらされる隣接土地に関する情報の中から、弊社のとって適切な物件があれば、購入を検討したいと考えております。


5.東京地所が暴力団関係者と知っていたか

 そのような認識はございません。
 弊社および私は、東京地所は東京都より正式に宅地建物取引業の許可を受け、適法に営業されている業者と認識しております。
 なお、宅地建物取引業法は、暴力団の構成員であることおよび暴力団の実質的な支配下にあることを宅建業免許の欠格事由と定めております。


6.結果的に暴力団関係者に資金が流れたことと、自らの責任をどう思うか

 上のご質問への回答の通りでございます。

 また、P社が東京地所へ支払いました仲介手数料は、媒介契約に基づく宅建業の定める範囲の手数料であり、適法、適切であります。

7.西武鉄道(ホールディングス)や国際興業の役員を辞任するつもりはあるか

 ご質問のご主旨がご指摘の不動産取引の関する事実認識に基づくものであれば、本件取引は弊社およびP社が適法、適切に行った通常の不動産取引であり、西武鉄道や国際興業との関連は一切ございますん。

8.河井氏が昭和地所に入ったのは、サーベラス グループの意志(紹介)か

 ニューヨークのサーベラス社より、私に昭和地所の役員就任の依頼があり、私の判断によりその依頼を受託し、昭和地所の取締役会および株主総会を経て同社役員に就任いたしました。

以上(続く)