スティーブ
 うちのボスとは同じ年で、フォト・ジャーナリストで、ボスなんかも一緒に仕事のしたことのある「スティーブ・ガードナー」・・・・。
 みなさん知っていますか?
 ま、うちのボスを知らない程度に、まだ、知られていないですかね?

 

 ボスにいわせると・・・・・

「アメリカはミシシッピー出身で、サザン・ミシシッピー大学ジャーナリスム科卒業というちゃんとした経歴をもっていて、『タイム』や『ニューズウィーク』といった一流紙でちゃんと、フォト・ジャーナリストとして活躍していたのに、何を血迷ったか1980年に日本に来日してしまい、ま、日本の雑誌でも随分活躍した。
 なんどか媒体が重なったこともあるし、一緒に仕事をしたこともあるけど、早い話が、日本にきて貧乏した。好きな食い物は、バーガーとトマトケチャップ。
 東京の安アパートの電気やガスはしょっちゅう料金滞納でとめられたけど、なぜかハーレーダビットソンにのっていた。
 当時は、俺たちは、『ちょんまげ』というあだ名をつけていた。床屋にいく金がないので、長く伸ばした髪の毛を後ろで輪ゴムで無造作に束ねていたからだ。それで、『ちょんまげ』。実はこれは武士道に通じるという隠喩でもあった。
 正直いって、スティーブの写真をみて、フォト・ジャーナリストを断念した若いカメラマン志望者がたくさんいた。それぐらいすごい写真をとった。なにがすごいか、彼の写真からは、体温というか生の温度がつたわってくるから。彼のカラーポジフィルムは、何か仕掛があるのでないか?とおもうほど、透明だけど峻烈な色彩が生きていた。これがアフガンの難民であろうと、タイのゴールデントライアングルだろうと、板門店であろうと、38度線であろうと、新宿のゴールデン街であろうと、おなじように生の体温がつたわってきた。たぶん、こんな写真をとれるフォト・ジャーナリストは日本にはいない。
 しかし、欲がないというか、営業下手というか、いつも貧乏していた。日本のマスコミ業界の排他主義的な側面に接したかもしれない。でも、いつもニコニコしていた。
 『貧乏だが卑しくない』こんなむかしの日本人の資質をもったアメリカンだった。
 話をきくと、スティーブの育ったミシシッピーとは、その土壌と、義理と人情、そして情熱という意味で、たぶん今の日本人がうしなってしまったかもしれない矜持があるんだとおもった。
 その矜持が、ブルースにあるとしって、オレは驚愕した。そのブルースは多分に、おれがニューヨークやロスのそこそこのクラブで触れたブルースとは同床だけど異質なモノ。一切の演出や飾りを廃した、素朴だけど、本源的にして、なにか郷愁が感じられる。激しいけど、そして優しい。
 あえていえば、津軽三味線や河内音戸にふれてふと感じる郷愁の暖かみ。そして生の証しとしての、素朴な情熱と激烈さ。陽性な悲しみ。とあいつじるかもしれないとおもった」

 実は、そのスティーブ・ガードナーは、しょっちゅう日本の質屋を往復したカメラ以外に、もうひとつのツールをもっていた。
 それは、ブルース・ハープ・・・つまりハモニカである。
 ふらりと事務所に遊びにきて、ボスなんかが「お!一丁やってくれ!」というと、ゴソゴソと取り出すのが、ブルース・ハープだった。
 いい加減なボスなんかは、「おまえうまいな!プロ並みだな!カメラよりも飯くえるかもしれんぞ!」と囃子たてるんだけど、本当は、そっちもプロだった。

 大学のジャーナリスム科卒業後、地元の日刊紙ジャクソン・ディリー・ニューズ社写真部に勤務するかたわら、サム・チャットマン(チャーリー・パットンの従兄弟でミシシッピー・シークのメンバー)など、ミシシッピー・デルタのブルースマンたちとの親交を深め、ブルースの手ほどきを受けていたのだった。
 フォト・ジャーナリストとして日本で貧乏するかたわら、東京のブルース・シーンでブルース・ハーピストとしてすでに知られていた。
 そして、東京とミシシッピーを往復し、ジャック・オーエンス、ジェシー・メイ・ヒンピルをはじめ、デルタのブルースメンの写真を撮り続け、1994年に写真集『Rumbling Mind』を出版した。 それでも貧乏だったのだろう。

 1996年にボトルネック・ブルースバンドを結成すると、突然と、ライブ活動を精力的に開始した。
 ボスは「貧乏に開き直ったのだろう。日本での貧乏が、一人のブルース・ハーピストをそだてた」と無責任にいう。

 2002年にファーストCD『Rambling With The Blues』、先ごろセカンドCD『Big Delta Crossing』をリリースした。東京の各大学でブルースとアメリカ南部の文化に関する講義を行い、明治大学で非常勤講師として教鞭を取っている。
 これもやはり、日本の貧乏の経験がなしえた技なのだろうか?

 そのスティーブ・ガードナーのライブへのご招待です。
 今月は有楽町にある外国人記者クラブでもライブがあるとのこと。
 普段は、一般の人だとなかなか出入りできない外国人記者クラブだけど、このライブは、オープンだそうです。しかも、ノーチャージ。外国人記者クラブは、うちのボスなんかもよくつかうけど、飲み物、食事などは、きわめてお気軽価格です。あとは、六本木のバーボン・ストリーで毎週火曜日、9時から12時まで、演奏しています。ぜひ、一度、「日本の貧乏がうんだブルース・ハーピスト」をみてください。なお、六本木の方では、どこぞのおっさんが酔っぱらって騒いでいたら、だいたいボスですから、石を投げたりしないでください。お世辞によわいですから、お世辞いうと、必ず一杯はおごってくれます・笑。プロ市民の方は、くれぐれも新車のベンツに乗ってこないようにしてください。ボスに潰されます。

5/22(火) 六本木:バーボンストリート(毎週火曜日)
ノーチャージ 9:00

ソロ

東京都港区六本木7-8-16

Tel:03-5786-2887

http://www.bourbonstreet-tokyo.com/contents/home?language=english

 

5/26(土) 有楽町:外国人特派員協会

ノーチャージ 6:30
デュオ with  仲瀬久幸(ベース)
千代田区有楽町1−7−1 有楽町電気ビル北館20F
Tel:03-3211-3161
JR有楽町駅日比谷口から徒歩1分。東京メトロ日比谷線、千代田線、有楽町線日比谷駅下車。

 

 

5/29(火) 六本木:バーボンストリート(毎週火曜日)

ノーチャージ 9:00

ソロ

東京都港区六本木7-8-16

Tel:03-5786-2887

http://www.bourbonstreet-tokyo.com/contents/home?language=english

(注意:ライブに招待される場合は、事前に確認の電話をしたほうがいいとおもいます)

ライブにいけないけど、ぜひ曲は聞きたいという方はこちらへ、


2枚目のCD、全曲が聴けます。まずは音のお試しを。

 
スティーブのHP。

 

 

スティーブのCD

Rambling With The Blues
Big Delta Crossing

以上