「おいどうしてたんだ。元気?」
 昨年9月の自民党総裁選には下を向いて歩いていた福田康夫元官房長官が最近すこぶる機嫌がよく、旧知の議員や自民党平河クラブ所属の記者にも声をかけるなどなかなか元気なんだそうだ。
「隣に蔵が建つと腹が立つ」「他人の不幸は蜜の味」
 などと人間の心理は「他人の不幸を喜ぶ物」らしい。
 特に永田町は嫉妬が渦巻く世界。
「安倍総理が参議院選挙で大敗すれば自分に総理のお鉢が回ってくる」ということなのだろう。
 昨年9月、清和政策研究会(現・町村派)は選挙に強いと誤解されていた安倍晋三を押し立てて総裁戦に臨み、見事安倍晋三を総理にした。
 総理就任当初、安倍人気は70%を超す超人気だったが、年金問題、松岡利勝農水大臣の首くくり自殺などがあって支持率は急落。
 最近での安倍政権各紙世論調査では「安倍政権を支持する30%前後」、「安倍を支持しないは50数パーセント」と政権末期症状を呈してきた。
「都合の悪いことにはすぐ居直る」「国会軽視」「理念がない」「官邸内に支えるべき参謀がいない」
 等々、安倍内閣が落ち目になると「安倍さんこそ自民党の救世主」と言っていた人までが「もう安倍では参議院選挙を戦えない」
 と言い出す始末。
 国会議員という輩は「自分が当選することと、大臣などの役職を得ること」しか興味がない連中なのだろうか。

 安倍政権逆風下での世論著調査では「次の選挙には自民党より民主党を応援する」という声が出てもおかしくないし、「自民党は大敗だ」という世論調査もおかしな数字ではない。
  こんな世論調査の数字をみてニンマリするのは反安倍か麻生外務大臣ぐらいだ。

 6月13日、グランドプリンス ホテル赤坂の五色の間で行われた「福田赳夫一三回忌」には歴代総理を始めとした福田赳夫元総理ゆかりの人物が3500人も駆けつけた。
 福田康夫元官房長官は「13回忌」の後、「出席の御礼」と称して自民党各議員への挨拶回りに忙しくしている。
 
 自民党関係者が言う。

「選挙に強いと思っていた安倍晋三さんを担いで総理にしたが、北朝鮮問題以外では意外と脆いことが分かった。そこを野党につかれて答弁に窮するや『民主党も悪い。年金問題は菅直人さんが厚生大臣時代のこと』と居直る始末。
 国民はこんなことばかり言っている安倍さんじゃ総理は務まらないと思ったんじゃないの。
 公務員の天下りを許さないといいながら『天下り一本化』法案を無理矢理通すため国会会期を12日のばし、参議院選挙を1週間のばした。これによって地方自治体は7月22日の予定で印刷物、会場確保の変更など100億円以上の追加負担が生じる事になった。
 天下り法案を成立させるために国会会期を延ばし、投票日を一週間延ばす必要があったのか。
 国会対策を全く知らないド素人の友達内閣でどれだけ選挙を控える参議院議員が迷惑を被っている人がいる事か。官邸は全く分かっていないんだろう。
 過半数割れしたら『安倍さんには即刻退陣いただくしかない』
 その後は、与野党ともに支持者も多い福田康夫さんに『選挙管理内閣』的な緊急避難内閣を作ってもらい、次の総選挙で本当の勝負をかけるしかない。
 とにかく安倍晋三さんではもう自民党はもたない。
 余談だが、政治家という物はなかなか枯れない人種だねー・・」

 こういった経緯で福田康夫さんの機嫌がいいのは分かるのだが、果たして参議院選挙に負けた安倍晋三総理が「辞任します」というかどうか。

「辞任しろ、辞任しろと言うなら衆議院解散だ」
 と安倍総理は居直る可能性もある。

 その時こそ「与野党入り乱れての政界再編」になる可能性は大だ。

 国会は最後の終盤戦。
 29(金)〜30(土)日にかけて与党は公務員制度改革法、社保庁解体法の成立。
 野党はそうはさせじと法案担当委員長の解任決議案、大臣の解任決議案、安倍内閣不信任案を提出して最大の抵抗を示すようだ。

 その結果、本案は数の論理で「官邸の意向」が成立するようだが、本当に信任するのは国民である。

 7月12日公示ー7月29日の参議院選挙の結果がますます楽しみになってきた。
 

文責・辻野匠師