「まったく、うちのボスは何をやっているかしらん」
 とこぼしてきてのが、釜台記者だ。
 例の三田佳子さんの次男・祐也容疑者が覚せい剤所持で3度目の逮捕された件で、あちこち取材していた。この手の話は警視庁詰めの薬対担当記者よりも、実は女性週刊誌の記者の方が強かったりする。
 これは、暴力団の関係を取材するなら、警視庁詰めのマル暴担当の記者よりも、実話系の週刊誌の記者のほうが強いというのとおなじ原理であります。

 その釜台記者とチームをくんで取材している記者さんが、ある女性週刊誌の記者から、「三田佳子さんといえば、オフイス・マツナガのボス関与していない?」と突然、逆取材されたそうだ。

 はあ?三田佳子?高橋祐也?
 なんで、うちのボスの名前が登場するのか?
 薬の売人を、まさかやっているわけじゃあるまいし・・・・。

 さっそく、当方のボスを詰問したわけだ。
 こういう時になると、なぜか事務所を離脱したはずの北岡記者もかけつける。
 ま、釜台記者と北岡記者は仲がいいからしょうがない。

 続きにいく前に、事件の詳細をおさらいしたかったら、

 三田佳子-youtubeで見るニュース

 にいってください。

「いったいどういうことですか?なぜ、三田佳子さんの次男逮捕の件でボスの名前が取りざたされるのですか?なにかわるさしていたのですか?いまならまだ間に合いますから、自首してください」

 ほほう、釜台記者は、真正面から切り込みました。

「だいたいだな、ボスの最初の女房が、三田佳子さん似の美人だった。ようは逃げられたのだけど、まさか、その未練から、三田佳子さんに接近したとか、そういうみっともない話ではないわけですね?」

 ボスのことなら何でもしっている北岡記者も鋭い。
 あれ?辻野記者は今回不在。
 遠藤顧問にはあえて連絡しない。なぜなら、この人は安直にボスの味方するからだ。

「そのだな?ま、未遂におわったわけだ。依存症脱却から。しかし、なんでオレの名前でるんだ?そういえば、ワイドショーのディレクターもきいてきた」(ボス談)

「なんの未遂ですか?」

 全員の声が一致した。

「いや、聞いてほしいのは、薬物というのは再犯率が異常に高い。たとえば、なくなったけれど中西啓介元防衛庁長官のところの息子も電通なんていう給料の高いところにいて、薬物やって捕まる。そこで、矯正させようとして、画家である山本集さんのアトリエで矯正と修行をした。
 そういえば、宮崎県知事のそのまんま東さんも、例の不祥事をおこして、山本集さんのアトリエで修行した。山本集さんのところの奈良のアトリエというのは、ま、その手の人たちが、矯正、修行の場として、人がよくて一本気の山本集さんのアトリエによく集まるわけだ。
 山本集さんの修行の基本は、薬物だけでなくて、ありとあらゆる『依存』から断ち切るという、これはこれですぐれた手法で、ようは、礼儀作法見習いにはじまり、礼儀作法見習いにおわるというシンプルなカリキュラム。
 ただし、殴る蹴るは当然。『オレも命をはって殴るから、おまえも命がけですべての依存を断ち切れ』というコンセプトで、半殺しの目にあうのは当然というシンプルさだ。
 これでたいていは、矯正できるのだけど、故中西啓介さんのところの息子だけはまた、薬物でつかまってしまった。これで、一番、落ち込んだのは山本集さんだった」(ボス談)

「そのね。昔の話でなくて三田佳子さんの話?」(釜台記者談)
「それが、どう三田佳子さんの息子と関係するんだ?さっさと、白状して楽になりなさい」(北岡記者)

「薬物の依存症というのは、薬物だけでなくて、他のどこかに依存状態があるわけで、それが、父親だったり、母親だったりする。この依存しないと生きていけないという状態が、薬物依存の再犯率の高いところなんだけれど、もうひとつは、売人の存在がある。
 ご存じのように、薬物でつかまっても、だいたい初犯だと執行猶予がつく。再犯でつかまっても、死刑や、無期懲役になるわけじゃない。実刑くらっても、だいたい、2−3年。しかも、薬物に依存してしまう人というのは、気が小さくてお人好しで、アマちゃんがおおい。けっこうまともな人が多いから、模範囚になって早めに刑務所から出てくるケースもある。だから、『あんないい人が』と周囲の人がおもってしまうというのが、まま、あるわけだな。
 ところが、ここが薬の売人の狙いどころなわけだ。
『いちどつかまえた顧客は逃がさない』という営業方針があるのがどうかわからないけれど、薬の売人は、執行猶予がつこうが、実刑くらって刑務所からでてこようが、とことん追いかける。同じ売人の場合もあるけど、それだと自分達の身が危ないから、横の連絡をとって、別の売人が顧客を追いかけるわけだ。
 とくに金のある顧客というのは、上客で、こんないい客をのがすはずはない。薬の売人というのは、素人ではない。玄人だから、警察の目があろうが、監視の目があろうが、情報収集して、日本だけでなくて、世界中どこにいても追いかける。だから、一度、売人に目をつけられたらおしまいというところなんだ。
 だから、薬物の再犯率が高いというのは、もうひとつの視点でいうと、売人のなみならぬ営業努力があるわけだ」(ボス談)

 ほほう、なかなかおもしろい。
 だから、この人は、原稿をかくよりもしゃべりのほうがおもしろいといわれるゆえんである。

「そこで、昨年のことだけど、ある人を介して、相談されたわけだ。
 三田さんちの息子さん、なんとかならんかと・・・・。
 オレは『なんともならん。なんとかなるとしたら、こんなオレのところに相談がくるわけはない』といったわけ。
 あまり詳しくは知らないけれど、すでにたくさんの人が、祐也さんのためにあれこれしたわけだ。創出版の篠田博之さんも相談に乗った。身元引受人として俳優で劇作家で演出家の唐十郎さんも一肌脱いだ。警視庁の薬対だってあれこれ配慮した。他にも多くの人が、祐也さんの矯正のために尽力した。
 母親の三田佳子さんだって、父親の高橋さんだってあれこれした。
 みんながあれこれした。しかし、結果論でなくて、これは逆に『依存状況』から脱出できないという悪いケースになってしまったわけだ。
 しかも、昨年の段階で、いわゆる薬物の後遺症であるフラッシュバックや、精神的に不安定な状態がつづいた。完全に体から薬物が抜けていない状態だったかもしれない。いや、その段階ですでに、こっそりと薬物に手をだしていたかもしれない。なんせ、薬物の売人からみると上客だから、売人がありとあらゆる手をつかって追いかけ、接触していたかもしれない。
 実は、こういう時に警察というのは、その機能からしてあまり役にたたない。警察は、犯罪者を捕まえる機能はあるけれど、犯罪者を厚生する機能はない。いや、だからといって、警察を責めるのはおかどちがいだけど・・・」(ボス談)

「で、どうしたんですか?」

全員の声が一致した。

「ま、こうなったら、唯一の方法は東京湾に沈めるしかない・・・・。なんて乱暴なことをいった。なんせ面倒くさいから。
 実は日本でもそうだけれど、薬物依存症の人を、リハビリさせて厚生する施設というのはない。米国にいけばあるだろう?という人がいるけれど、たしかに米国にはあるにはあるが、逆にここは、こうしたリハビリ施設から一歩表にでると薬物の売人がうようよしている。もっというなら米国のこの手の施設というのは、薬物依存症から完全に断つという作業よりも、微量でも薬物をつかいながら、精神と肉体のリハビリをやって、依存状態を矯正するという手法をつかうようだ。
 つまり、薬物から完全に断つという、家族が期待するような矯正にはならない。もっと乱暴にいえば、米国では薬物を使用していてもいいから、薬物からの完全な依存状態から脱却して、世間様に迷惑かけなければいいという、ぬるま湯の矯正方法。過度の薬物依存状態から脱却できればいい・・・という考え方があるかもしれない。つまり、普通に健康に生活できて、他人様に迷惑かけなければそれでいい。適度な薬物の使用は目をつぶるという考え方で、これが、薬物汚染大国の実態なわけだ。だから、日本ほど、薬物の使用に関しては厳しく取り締まらない。というか厳しく取り締まっていたらきりがない。問題は他人様に迷惑かけなければ、あとは自己責任でどうぞ!ただし、他人様に迷惑かけるようなら、捕まえます。厳しく罰します。という放任というか、自己責任が徹底しているのかもしれない。
 これは、日本ではなじまない。だから、警察も必死に取り締まっているわけだ。
 もっとも、日本でも薬物汚染の実態はすさまじくて、『おいおい、欧米化するかも知れない』といっている警察幹部もいるけれど、まだ、そこまでいっていない」(ボス談)

「で、東京湾に沈めたんですか?」

 また、全員の声が一致した。

「いや、それやると犯罪行為になる。殺人と死体遺棄だから、薬物使用よりも重い刑罰になる・・・・から、誰もしない。
 そのころ、三田さんの家族も手をやいたようで、祐也さんを東京のある精神病院に入れていた。しかし、精神病院というのは、薬物の売人から隔離することはできても、いわゆる治療やリハビリにはならない。
 しかも、精神病院だって、いつまでもおいておくなんてことはできなくなる。

 そこで、しょうがないので、ま、オレの友達の医者と相談した。こいつは医者といっても、リハビリ専門医だから、最後の可能性があるかもしれない。
 そこで、あるカリキュラムをつくった。
 まず、完全に薬物を体から抜くこと。薬物の売人を遠ざけること。
 そこで浮上したのが、広島のある病院だった。
 薬物患者が最後にいきつく病院とか、ここでだめならアウトというか、やはり東京湾に沈めるしかない・・・という病院。なんせ、広島にその病院をかまえている。薬の売人であろうが、ヤクザものであろうが、マフィアであろうが、断固と排除するという信念の病院であり、信念の院長がやっている。これは、公にいってはいけないらしいけれど、広島県警とも連絡をとっているから、鬼の広島県警の薬対が、売人どもを追跡捜査する。
 実は、祐也さんには、ここの広島の病院にはいってもらった。
 まず、薬物を体から完全に抜くこと。さらにフラッシュバックなどの後遺症の治療。警察と連携して、追いかけてくる薬の売人の排除。
 これが、今年の話。そこで治療をおえて、ここの院長から、オッケーがでたら、さきほどのリハビリ施設の病院で、リハビリする。
 ま、これを考えたのはオレでなくて、オレの友達の医者なんだけれどさ。
 こいつがいうにはだな。
『薬物に依存している人は、基本的な体力が弱っている。絶対に薬物を断つと決断しても、実は、体力がついていかない。精神と肉体のバランスがくずれている。精神をささえるのは、やはり健康な肉体であり体力なんだよな。これはすべての病気治療の基本なんだけれど、医者はわかっていてもそこまで手がまわらない』
 だから、リハビリ施設で、まず、規則正しい生活をおくり、適度な運動をして肉体を復活させる。体力をもどす。これは、精神論ではないらしい。
 おれだったら毎日、ゴルフでもさせるけどね。

 ところが、このカリキュラムは破綻する。
 広島の病院に祐也さんを入院させたのだけど、まず、この病院がかなり厳しい。三田佳子の息子だからって、手抜きはしない。厳しいといっても何も虐待するわけでない。それこそ、規則正しい生活、規則正しい食事をさせる。売人から遮断するために、外部との接触は規制する。携帯電話の持ち込みは禁止。
 ところが、肝心の祐也さんが、じきに、この病院がいやになってしまったようだ。飯はまずいとか、好きなDVDがみれないとか、夜遊びできないとか、携帯がないとか、看護婦さんに美人がいないとか・・・・ま、詳細はしらないけど。
 だいたい、薬物だけでなく、依存症の人というのは、辛抱がきかない。継続ができない。

 ここが問題で、ここで母親や、父親の存在が重要な意味をもってくる。

 正直いうけど、この家族というのは、母親の三田佳子さんはかなりまっとうなんだけれど、父親の高橋さんというのがなっていない。甘い。高橋さん本人が息子に依存している。高橋さん本人が三田佳子さんに依存している嫌いがある。だから、おれはだれもいわないから『馬鹿オヤジ!』といっていた。まず、この『オヤジ!』の矯正をしなくてはならない。これは、実は三田家と接触した経験のあるひとの偽わざる感想で、芸能レポーターの人も本当はわかっている。しかし、『馬鹿オヤジ!』とはいわない。
 そりゃそうだろう。オヤジが薬物やったわけでもないわけだから。オヤジが犯罪者なわけでない。オヤジはできのわるい息子をもつ善良で狼狽する父親役だ。
 もし、死んだうちのオヤジなら、オレがそうなったらオレを殺して自分も自殺するだろう。いや、日本の伝統的な父親というのは、いい悪いは別にして、息子の不始末にたいして、こうしたケジメをつける。いや、母親だってそうする場合がある。これが究極の家族愛で、実はこれが抑止力になっている。
 ところが、三田家では、この抑止力機能が働いていない。原因は、この『オヤジ』にあるんだな。

 広島の病院に入院した祐也さんなんだけれど、本人は依存症の固まりみたい人間だから、ちょっと厳しい規則正しい生活というだけで、いやになってしまう。はやい話が、この病院を脱走同然に、退院してしまうわけだ。
 そりゃ、広島の薬物治療を専門とする最後の病院だ。院長も厳しいし、病院のスタッフだって厳しい。厳しいのは当然で、そうしないと、薬物依存患者というのは矯正できない。また、薬物に手をだす。ということをしっているからだ。
 しかし、息子の祐也さんが、ぶちぶち不満をもらす。それに同情してしまって退院させてしまったのが、『父親』なわけだ。
 
 これで、すべてのカリキュラムはおじゃんとなった。

 どんな名医だって、本人や家族がその治療をうけてくれないと治療できない。強制はできないわけだ。これが、今年の春の話。
 多分、オレがおもうには、最後の『蜘蛛の糸』だったとおもう。
 この最後の『蜘蛛の糸』は切れてしまった。

 そうしたら、案の定というわけだ」(ボス談)

 なるほど、そういうことがあったわけだ。
 3度目の正直で、高橋祐也容疑者は実刑判決をくらうだろう。
 しかし、考えようによって、「実刑判決くらって、刑務所にはいるほうが、まだましかもしれない。そこから、また矯正の道がはじまるから」(ボス談)
 高橋祐也容疑者は、27歳になる。
 こうなったら、家族の責任でも社会の責任でもない。
 自分自身、本人の責任だ。
 刑務所にはいることによって、はじめて高橋祐也容疑者は、家族離れができるのかもしれない。三田家にとっても、はじめて息子離れができるのかもしれない。

 ここからの、矯正の道は、「祐也」本人の問題だ。
 これは、考えようによっては、はじめて本人が自立できるのかもしれない。

「祐也君の厚生と矯正の第一歩がはじまったとみてあげよう。あとは、だれも助けることも、邪魔をすることもできない。自分自身で落とし前をつけるしかない」

 とボスは申しております。

以上