「入場許可がないと入れないよ」
 11月7日から3日間、港区のニュービアホールで行われた日米安全保障戦略会議の会場には開始前から警備員がウロウロ。会場入口には金属探知器まである物々しさ。
 そんな中、協会専務理事である秋山直紀氏はこう言ってマスコミをシャットアウトした。 山田洋行事件で逮捕された宮崎元伸元山田洋行専務は昨年まで日米文化交流協会の理事。山田洋行事件でバックにいるのは秋山氏ではないかと本人が有名になった事で、会議開催には余計ぴりぴりしていた。

 文化交流協会には政治家がズラリと理事を務めている。
 瓦力、久間章生、額賀福志郎、玉沢徳一郎、中谷元、石破茂、斎藤斗志次の歴代防衛庁長官経験者の他、綿貫民輔、武部勤、前原誠司民主党元代表の名前もある。
 戦略会議には瓦、久間、前原、佐藤茂樹、玉沢徳一郎、伊吹文明、石破茂、佐藤正久の各政治家の出席が予定されていたが、実際に出席したのは瓦力と玉沢徳一郎の2人だけで肝心の久間元防衛大臣病気入院中につきビデオ挨拶という有り様だった。
 政治家はやはり逃げ足が速い。

 

政治家の他、会議にはアメリカからウイリアム・コーエン元国防長官、シュウナイダー元国防次官等が出席。
 ミサイル防衛には民間軍事会社の三菱重工、川崎重工、日本電気の役員と共にアメリカの軍事産業ボーイング、ロキード・マーチン、ノースロップ・グラマン、レイセオン社役員がして登場するなど、防衛関連一色の会議である。

 戦略会議の他の部屋にはMDミサイルやF−15FX戦闘機の模型、軍事衛星や無人偵察飛行機などが所狭しと展示してあり、まさにミニ防衛展示会場である。
 特筆はF-35ライトニング兇寮鐺シミュレーターがあり、側には通訳付の説明員が付き発売元のボーイング社の営業マンが戦闘機の使用方法を懇切丁寧に説明するという念の入った展示会場だった。  
  当然、アメリカ製の軍事製品展示会であるため日本製の物は一切ない。

 日米交流協会の中心人物は秋山直紀氏である。秋山氏は学生時代からベンツを乗り回すほど裕福な家庭に生まれた。
 作家・戸川氏の運転手をヤリながら永田町に顔を出すようになった。その縁から防衛族のドンといわれた故金丸信自民党副総裁の信頼を受け、国防族の裏方として働くようになた。
 日米文化交流協会は日米の国防族を繋ぐいわばサロン的な役割を演じてきた。
 日本の国防族や制服組とアメリカの防衛産業とコーエンら国防省幹部とを引き合わせるのだ。
 この協会は毎年5月の連休に日本の政治家10人前後をアメリカの防衛産業工場、軍事施設の見学やワシントンの要人との会談をツアーに組み込み、なんとファーストクラス、高級ホテルへ招待する。
 もちろん、政治家には一切の費用はかからない。一人百数十万円費用は日米の軍事産業から拠出され、案内や接待は三菱重工や山田洋行らの現地会社員が案内するというまさに至れり尽くせりの豪華軍事ツアー旅行なのだ。

 今、日本の防衛は大砲や戦車などの物からハイテクへとどんどん移行している。PAC-3、SMー3などの迎撃ミサイル。グローバルホークなどの無人偵察機や軍事偵察衛星へと変化しているのだ。
 また、航空自衛隊はベトナム戦争時代のF-4ファントムを廃棄して新世代戦闘機を導入しようと次世代機種の選定に急がしい。これは石破防衛庁長官時代に三菱製のF−2に欠陥があることが分かり、空自導入を減らした事による。
 その間の防衛を考えるとき、一機200億円とも言われる最新鋭のF−22ラプター導入を目指した。
 今年、現職だった久間章生元防衛長官や守屋武昌元事務次官がアメリカのワシントンに乗り込んで「F−22ラプターを日本に売ってくれ」と交渉したが、アメリカ議会の反対で「最高軍事機密を搭載したF−22は日本に売れない」と言うことになった。
 F-4の代替え機としてはF−15FX、F-18スーパーホーネット、ユーロファイター2000、ダッソーラファールの4機に絞られている。
 空自は日米関係から当然ヨーロッパ制ボツ。F-18スーパーホーネットは海軍機でもあり、あまり導入には積極的ではない。
 残るのはF−15Jの改良・大型化であるF−15スーパーイーグルだろう。現在のF−15は三菱製でパイロットもメンテナンスも十分こなれているから、改良型であるF−15FXの導入は最有力候補だ。

 日本の次期支援戦闘機事情を熟知する日米軍事産業は前回展示したF-22の展示をやめ、F−15FXと、F-35に的を絞って展示していた。日米の商売人は目が高い。
 それもそのはず、日米文化交流協会は展示会場で制服組へは日米のバイヤーが機種性能をじっくり説明し、政治家には米要人とパネルディスカッションで会わしせながら交流を図らせる。
 コーエンら国防省関係者は退官の後はほとんど、軍事産業へ天下るか軍事コンサルタント会社を設立して儲けることに専念するのだ。
 
 文化交流協会は政府から毎年、600万円前後の補助金が出されているが、何のために補助金が出ているのかよく分からない。

 専務理事の秋山氏は国会議員と防衛産業の人物を会わせる。防衛産業は武器納入を目指して政治家に献金やパーティ券購入、或いは選挙の応援をし、また陸海空の制服組を呑ませ喰わせ、あるいは退官後の就職・天下りを受け入れるのだ。
 制服組は天下りを目指し、或いは先輩の将軍からの依頼を受け軍事産業の製品導入に
尽力するのだ。
 山田洋行なんて十数年で百数十億円の納入実績と大騒ぎになっているが、三菱重工は一年で2000億円なのだ。
 F−15Jイーグルはロキードから直接買うと40億円前後。それが三菱重工がライセンス生産をして空自に納入すると110億円にもなる。
 三菱重工はライセンス領が高いからだというが、なぜ70億円も差額がでるのか誰にも解らない仕組みになっているのだ。それが百数十機もあるのだからその差額だけで1兆円は越すのだが・・・。

 山田洋行の事件を契機にこの際、防衛産業の価格を徹底的に洗う必要がある。本社からの直接導入を計れば価格はぐっと下がるし、天下りの人質がいるから大丈夫とあぐらをかいていた軍需産業もビックリするだろう。
 この刺激によって、現在自衛隊に納入されている戦闘機も戦艦も戦車も飛躍的に値段が下がるかも。
 最後の利権と言われる軍事産業にメスを入れるときだ。 

参考:

 安全保障議員協議会 福田首相も理事メンバーだった2007/11/20
 秋山直紀 日米安保障議員協議会2007/11/19



BY 辻野匠師