政府は、道路特定財源の暫定税率を10年間延長する方針だが、それにあわせて、道路整備費財源特例法改正案を閣議決定していたが、そのトリックの内容が明らかになった。

 これは、「一般財源化への、目くらまし案。ごまかし案であることが明らかになった」と自民党議員からさえ指摘されている。

 財源特例法改正案では、揮発油税と石油ガス税について、従来税収を毎年度の道路整備に全額充当するとしていた規定を改め、税収が道路整備費を上回る場合には、毎年度の予算で全額を充てなくてもよいことと規定した。税収の余剰分を一般財源化する規定を設けたもの。

 2月5日の参議院予算委員会で、民主党の福山哲朗氏の質問に、額賀財務大臣は「一般財源化して余った分は、次の(翌年度の)道路財源の一部になる」と答弁。

 この答弁には、野党だけでなくて、自民党内からもどよめきの声がおきた。

 自民党議員は、こうため息をつく。

「道路財源関連法案は、道路特定財源の一般財源化への道をひらくもの、という位置づけだった。つまり、小泉政権、安倍政権と継続されてきた一般財源化へむけて、法律的に裏付けをつけたとされるものだ。表向きは、福田政権も一般財源化へ消極的ではない・・・・というアピールだったのですが。
 なんのことはなくて、余った分は、一度は、一般財源化する。しかし、それは翌年は、道路財源につかう。なんのことはない、一般財源化はたんなる見せかけというトリック。そのトリックの内容を、額賀財務大臣が証明してしまった」

 というものだ。

 

 この法案を推進している道路族の自民党議員の意見もきいてみよう。

「ペテン、トリックなんてとんでもありませんよ。一歩前進なんですよ。この辺を理解してください。だいたい、オフイス・マツナさんのブログは、最近、民主党よりすぎますよ。だいたい、民主党さんだって暫定税率の廃止はいっていますが、一般財源化にはいまだに意見がわかれている。小沢代表は、一般財源化には慎重だときいていますよ」

 という前置きをふまえて、以下のように話す。

「これまで、道路特定財源は自動車重量税の範囲内でしか一般財源化できなかった。しかし、改正案が成立すれば、揮発油税も含め、毎年度の予算で道路整備費を上回る道路特定財源の余剰は一般財源化できるようになるのです。これを一歩、前進といわずになにをいうのですか。
 さらに地方にも配慮しています。地方の道路整備支援を目的に、揮発油税収の4分の1を自治体に配る地方道路整備臨時交付金制度も10年間延長することを織り込んでいます。地方の道路整備こそが、ある意味で格差是正なんですよ。だから、地方の首長はみなさん、道路財源を維持に賛成です。さらに、この法案を支持しています。
 たしかに、オフイス・マツナガさんが指摘されているように、不急不要の道路もあるかもしれない。道路財源の流用などは配慮がたりなすぎる部分があります。それはそれであらためていく必要はあるでしょう。しかし、それは各論です。
 総論としては、この改正案は、一般財源化へ一歩歩み出したと理解していただきたい」

 自民党道路族からの直接の指摘である。

・・・・・一歩前進はとは受け止めることはできませんね。一般財源化にする、しかし、翌年はまた、道路財源にもどす。では、この裁量はだれがするかという、官僚でしょう。官僚の得意の自己保身法案でないのか。

 ということだけを、付け加えておく。
 また、地方の首長さん1874人、全員、暫定税率の廃止に反対しているわけではない。

参考:「全首長署名は誤り」冬柴国交相が平謝り 道路特定財源 2008年2月5日(火)12:06 朝日コム、

 実際は、1874人の全国の自治体長のうち1868人の署名(全首長から道路特定財源を維持すべしと直筆で署名されたもの)を国交省はあつめている。欠けているのは6人だけ。署名率は99.6%。
 たしかに圧倒的、多数をもって「道路財源維持」=「一般財源化反対」=「暫定税率廃止反対」となっているかもしれない。

 しかし、ここにも国交省のまやかしがないか?
 うちのボスもよくしっている10人の首長さんに電話で確認した。

「名前でませんよね。ええ、署名しました。そんなのあたりまえでしょう。こっちは国交省にキンタマ握られているんですよ。そこで首長全員が署名した、6人が欠けているうんぬんなんてどうでもいい話なんですよ。
 道路財源をにぎっている国交省のパワーたるやすごいものです。かっての郵政の特定郵便局の数段上ですよ。そんなことも、わからずに記者やっているんじゃないですよ」という市長さんがいた。

 残りの9人も、「署名した」しかし、本当に賛成がどうかでいうと、「個人的には反対。しかし、首長としては署名せざるをえない」が6人。「うちは道路財源が命綱なんですよ。道路整備はまったく遅れている。この問題を全国一律で語ることがまちがっています」という人が1人。「国交省にさからうには、相当の覚悟と根性がいる。今はその状況にない」という人が1人。

 なるほど、国交省は強い!
 知恵者も、策士もいるということか・・・・。
 いや、その前に、命綱=金を握っている・・・。

以上