トヨタの闇
トヨタの闇
posted with amazlet on 08.02.26
渡邉 正裕/林 克明
ビジネス社 (2007/11/07)
売り上げランキング: 5224
おすすめ度の平均: 4.0
4 なかなか評価が難しい本ではありますが
2 トヨタを攻めるならトヨタ独自の闇で勝負すべき
5 広告でマスコミを支配する大企業の闇

 

 同書の共同筆者である林克明さんは、オフイス・マツナガ出身である。
 同書は昨年の11月14日に発売された。
 また林さんは、平成暗黒日記というサイトも運営されている。
 同サイトから、プロフィールを紹介。


 

   

林克明(はやし まさあき)

フリーライター

通販あれこれStaff
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員
My News Japan 記者

新築マンションに引っ越してシックハウスに。それ以来、環境問題に興味を持ち、スウェーデンまで取材に行く。健康法にも興味あり。

 

【趣味】散歩。これが最高の趣味だと思っています

【ストレス解消&健康法】身体を動かす。地下鉄駅の階段を一段抜かしで登る。電車内ではつり革をつかまず、ヒザでバランスをとりながら本を読む。とにかく歩くとすっきりする

【嗜好品】アルコール類で最高なのは日本酒だと思っている

【食べもの】毎日、弁当持参

【好きなことば】1日1ミリ

【気になるテーマ&得意分野】チェチェン戦争について10年間取材。雑誌・テレビ・単行本・写真集で報道する。最近は、チェチェンの「抵抗精神を支える哲学(ウェズデンゲル)と日本」をテーマにした著作に取り掛かっている。

食と暮らしの安全(食べ物、化学物質、シックハウスなど)に関する取材なども取り組んできた。身体(身体論・東洋医学・武術・スポーツ・健康法)に関する興味が増している。

 

これまでの仕事 ライター歴17年

1960年 長野県長野市生まれ
1982年 中央大学商学部に在籍しながら、日本ジャーナリスト専門学校夜間ルポ科
1986年 パチンコ業界誌の編集記者
1989年 フリージャーナリスト松永他加志事務所に参加。

『週刊SPA!』で問題提起シリーズ担当、『週刊プレイボーイ』のニュース記事担当、『週刊テーミス』で取材

1995年 1月 モスクワに移住。3月にチェチェン戦争取材開始。
1996年 夏 小学館ノンフィクション賞優秀賞受賞(カフカスの小さな国)
12月帰国 以後、チェチェン問題は継続しながら、環境問題などに取り組む。2001年 『週刊金曜日』ルポルタージュ大賞受賞(ジャーナリストの誕生) 
     『週刊金曜日』契約記者として1年間働く。
2002年 『月刊あれこれ』創刊に参画 

●書籍関連
【著書】
*『カフカスの小さな国〜チェチェン独立運動始末』小学館 1997年
*写真集『チェチェン 屈せざる人びと』岩波書店 2004年

【共著】
*『チェチェンで何が起こっているのか』高文研 2004年
*『文筆生活の現場』石井政之編著 中公ラクレ新書 2004年
*『安ければそれでいいのか』山下惣一編著 コモンズ 2001年

【ライターとして関わった本】
*『野菜が糖尿病を引きおこす?!』河野武平著 宝島社新書 2000年
*『ガンと水の深い関係』河野武平著 コモンズ 2002年

 

 経歴をみてもらえばわかるように、なんともいい加減なうちのボスのもとで6年間、雑誌記者をしていた。

「週刊現代の記者をしていたときに、ロシア語を学び、突然と『モスクワに行く』といいだした。しかも、同じロシア語の学校でしりあった現夫人をみつけた。2人で行くといいだした。なんで、ロシアかとおもったが、『貧乏する覚悟はあるんだな』と聞いたら『はい』という。ま、一人でいったら、自殺でもしかねないが、2人でいくなら貧乏も平気だろうということで、暖かくロシアに送り出した。ま、女房をみつけたのだから、それはそれでよし」(松永談)

 ロシア在住中に、チェチェン問題にであう。それは、『カフカスの小さな国〜チェチェン独立運動始末』小学館という書籍になって、小学館ノンフィクション賞優秀賞を受賞するのだが、ボスのいうとおりに、「貧乏に強いジャーナリストの誕生」(ボス談)である。

 彼の経歴をみると「見事に左巻きですね」といってくる編集者がいるが、なにをもって「左巻き」というのか、判断不明だが、「彼が社会主義者や共産主義者だったことはない。むしろ、昔のオレのほうが、そっちに近かい」(ボス談)というのだが、どうもこの「左巻き」という判断基準は相当に曖昧になっている。
 ボスの年代なら、「社会主義、および、共産主義の思想をもっている。もしくは影響をうけている」ということで、左翼とか、新左翼というカテゴリーがあてはまったらしい。林さんは、社会主義者や共産主義者だったことはないというから、どの尺度ではかればいいのか?

「だいたい、日本ですこしでもインテリ教育をうけたら、社会主義や共産主義の書籍に接しないほうがおかしい。もっとも、うちの遠藤顧問みたいに、むしろ社会主義批判、共産主義批判からきてしまう人もいる。しかし、かぶれるか、批判的にあつかうかは別として、いわゆるマルクス・レーニン主義というのは、青年期のひとつの通過儀礼みたいものだ」(ボス談)

 では何をもって左巻きというか?「週刊金曜日」に記事をかくと左巻きか?トヨタの悪口を書くと左巻きか?権力にたてつくと左巻きか?世の中の不正をあばいたら左巻きか?ではジャーナリストはみな左巻きか?

「なら、徹底して左巻きでいたほうがいい」というのがボスのお話。

 しかし、従軍慰安婦問題に?おもったり、靖国神社にガキの頃から参拝したり、憲法を改正したほうがいいといったり、日教組は嫌いだ!と宣言したり、歴史検証などしたりすると、「左巻きといわれなくなる」(ボス談)だそうだ。だから、本人が「左巻きでいたほうがいい」とおもっていても、周囲はそうみてくれない。「これはこれで悩ましい」(ボス談)ということらしい。

 というわけで、「左巻きであろうが、右巻きであろが、中途半端であろうが」・・・どうでもかまわないから、ちゃんと取材して、ちゃんと記事書いていればいい・・・。むしろ問題は、「義理人情」に欠落事項があるかないか、その一点。あとは、趣味でやってくれ・・・・・ということです。

 そこで、この「トヨタの闇」です。
 一読したあとで、「続編あるんだろうな?」といったのはボスです。
 この系列では、鎌田慧さんの「自動車絶望工場」とか、それこそ、1936年にできたチャーリー・チャップリンの映画「モダン・タイムス」がある。

「残念ながら、そこには達していない」という厳しい評価を下します。
ま、身内のようなものですから、身内には厳しい。
しかし、「この続編をまちたい。その続編を期待したい人はぜひ一読を」
と結んでいました。

 ということで、かなり厳しく評価したこの本の書評なのですが、実は、ほとんどの雑誌で一度あずかってもらいながら、すべて「没」・・・つまり「未掲載」になっています。

 どうやら、「トヨタの闇」は、それを批判する書評も、手厳しい「書評」もいわゆる一般紙や一般誌では未掲載になるらしい。

 批判も反論もされないまま、密かに売れている本。
 これが、この本の性格です。
 天下のトヨタさんが、この本を、名誉毀損でうったえるという話もない。
 トヨタ労組が買い占めたという話もきかない。
 一般の書店ではなかなか、本棚にならんでいない書籍。
 しかし、ネットの社会では、かなり流布している本です。
 ボスが自民党の政治家先生に密かに「すすめて」、「ちゃんとトヨタから政治献金もらいなさい」といっている本です。

 これが、今だに未完かも知れない本書の最大の特徴です。
 さあ、あなたの本棚に一冊おいておきましょう。

以上