チベット動乱・・・・。
 日本政府の本音。

「基本は、自制を促すと共に事態の推移を見守るのが日本の立場」(外務省幹部)
 つまり、静観である。

「中国は、内政問題という立場を崩さない。しかし、人権問題に敏感な欧米諸国が厳しい態度でのぞむとどうなるかわからない」(官邸サイド)

 もっと端的にいえば、この7月に日本でサミットが行われる。さらにこの5月に胡錦濤国家主席が来日する。その前の4月中旬に楊潔チ外相が来日する。

「日中間の関係悪化を避けたいというのが本音です」と、堂々という外務省幹部もいる。

 チベット暴動がおきた直後に、外務省は「事態が早期かつ平和裏に沈静化することを強く期待する」という報道官談話を発表。さらに、斎木昭隆アジア大洋州局長が孔鉉佑駐日中国公使に電話で同様の要望を申し入れた。

「実は中国の人権問題に関しては、日中人権対話というのやってきた。しかし、2000年1月以降は途絶えています。この4月に来日する楊潔チ外相とやっと対話の再開ができるかどうかということなのです。高村正彦外相がどこまで、チベット問題や人権問題に踏み込むことができるか?」(外務省幹部)

 はあ?高村正彦外相じゃ、むりでしょう・・・・・。
 とおもわず、いってしまったぐらいである。

 もっとも日本の政治家がすべて、弱腰かというとそうでもないようか?

 超党派の「チベット問題を考える議員連盟」(代表・枝野幸男衆院議員)は、19日に「状況が今後も悪化するならば、国家主席訪日を歓迎できない状況にもなりかねない」として、日本政府が中国に毅然(きぜん)とした対応を取るよう求めた声明を、福田康夫首相、崔天凱(さいてんがい)駐日中国大使らに送付した。

 「チベット問題を考える議員連盟」の声明は、

報道の自由がない中で、中国政府による一方的なプロパガンダや弾圧がなされている疑義を持たざるを得ない状況が悪化するなら、胡錦濤国家主席の訪日を到底歓迎できない状況になりかねない

 19日に国会内でおこなわれた総会には、民主党の鳩山由紀夫幹事長、藤田幸久民主党参院議員、自民党からは、玉沢徳一郎元防衛庁長官、馳浩副幹事長、社民党からは、阿部知子政審会長ら衆参議員27人が出席。

 枝野幸男同会代表は、「弾圧している疑いのある国の元首を歓迎していいのか。政府は踏み込んだ対応をとれ
 玉沢徳一郎元防衛庁長官は、「胡主席自身が昔、チベットを弾圧した。人権を顧みない中国は問題だ
 藤田幸久民主党参院議員は、「調査団派遣を求めている欧州連合議会と連動しよう

 3月19日の総会に集まった国会議員は27人。これを多いとみるか、少ないとみるか?

 しかし、ここでおもしろいエピソードを紹介しておこう。

 昨年11月に、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が来日した。
 この時に、鳩山氏ら同議連メンバーがダライ・ラマ14世と会談した。
 これは小さくしか報じられていない。
 なんと、この時に、中国側から抗議を受けていたのである。これはほとんど報じられていない。
 さらに平成13年には、中国が「チベット問題を考える議員連盟」のメンバーに「活動をやめないと所属政党の幹部が訪中しても、中国要人に会えなくなる」と圧力をくわえていたことも、明らかになっている。

 さて、今後の日本、および日本政府の対応だ。

 日本政府は、邦人保護のために外交官の現地入りを求めたが、中国政府に拒否されたまま。
 町村信孝官房長官は、「現地に外交官やメディアを入れない対応はいかがか」(19日)高村正彦外相は「オープンにした方が中国のためにもなる」
 ということで、なぜか、日本のマスメディアと同じような主張をくりかえした。

「つまり、国際社会の真相究明を求める声に日本も賛同の意をあらわしたのです。弱腰といわれようが、これが現状の日本の精一杯の対応です。なにしろ、中国は、『ダライ・ラマ14世一派が企てた策動』(温家宝首相)といいはっている。中国は、国連の常任理事国です。今後、国連の安保理でも議題にあがるかもしれない。この推移を見守りたい」とは、うちのボスと割と親しい外務省関係者。

 この外務省関係者が、「この記事を読んでおいてください。非常によくまとまっていますし、現状をよく書いています」とすすめてくれた記事がある。

 それを紹介しよう。

 その記事は、中央日報2008.03.21 <取材日記>チベットにはノーコメントの欧州
 
以下に収録しておく。

<取材日記>チベットにはノーコメントの欧州

 欧州の各紙には連日、チベット人をたたく中国兵士の写真が掲載されている。相当数の欧州のマスコミは、チベット騒乱に関連、中国に対して批判的立場を示す。人権問題を取りあげてのことだ。欧州は「人権先進国」だ。

  数日前、パリの中国大使館では、チベットデモ隊の一人が大使館によじ登り、中国国旗を掲揚ポールから引きずりおろし、その代わりに中国政府が禁じているチベットの旗を結びつけた後、逮捕された。デモ隊がパリを選んだ理由は、パリが人権先進国・欧州の中心だからだ。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の本部もパリにある。

  最近、セルビア領土に住んでいたコソボ人が独立を宣言したとき、西ヨーロッパは一斉にコソボを国家承認した。冷静に考えてみれば、コソボは国際法上に、明白なセルビアの領土である。独立問題もセルビア政府が決めるべきことだ。それにもかかわらず、英国・フランス・ドイツなどがコソボのために圧力をかけて、掲げた名分は人権だった。

  ところが、欧州諸国はチベット暴動にはまったく触れずにいる。フランスのクシュネル外相が個人的に示した「北京五輪・開幕式の不参加」発言が唯一だ。それさえも通り一遍に思われる。コソボのときとはあまりにも異なる。欧州は何故こうだろうか。答えは中国の経済力にある。

 中国は昨年、日本に続きルイ・ヴィトンの二番目の消費国になった。ルイ・ヴィトンは、世界トップの仏高級ブランドグループである「LVMHモエへネシー・ルイ・ヴィトングループ」を代表するブランドだ。2015年になれば、中国は全世界の高級ブランドの3分の1を消費する国になるという。

 高級ブランドの大国、フランスが中国に対し「チベット人権弾圧」と激しく批判する場合、どんなことが起きるだろうか。中国がじっとしているわけがない。中国で仏高級ブランドの不買運動が広がれば、パリは大騒ぎになるだろう。他の欧州諸国も同様だ。数億〜数十億ウォンもする高級乗用車のポルシェ(ドイツ)やフェラーリ(イタリア)の中国への輸出も毎年2桁成長を続けている。

 これだからドイツもイタリアも中国を軽視できない。英国は最近、中国に2000億ドル(約200億円)に相当するファンドの開設を要請した状況だ。チベット騒乱に対する欧州の沈黙は、このように簡単にお金の論理で説明できる。冷厳な国際社会の現実かもしれない。それでも人権先進国といわれる欧州の「二重態度」を見ているようで残念に思える。

中央日報 Joins.com 2008.03.21 16:09:02

参考記事:

チベットの騒乱、中国経済の影響力を前に西側諸国は沈黙か
ロイター - 2008年3月20日
[ロンドン 19日 ロイター] 中国チベット自治区で起きた騒乱では、西側諸国が中国政府の対応を声高に非難する姿勢はさほど見られず、中国経済の影響力の大きさが暗 ...

 

以上