さて、本ブログ、食品安全問題取材チーム(座長・辻野記者)の久々の記事である。

 これまで、BSE問題をあつかってきたが、実は、派手な政治記事やサーベラス問題に代表される事件記事の陰にかくれてあまり注目されてこなかった。しかし、現在もしっかりと検索されて、アクセスがある。で、久々の登場である。

 過去エントリー参考:

【政治】今秋、アメリカから狂牛病・BSEの肉がやってくる 2005年06月07日
【政治】速報!衆議院農水委員会米国BSE調査団レポート 2005年07月01日
真っ黒な調査報告書 これでも米国産牛肉輸入解禁か? 2006年05月26日
BSE黒塗り報告書・米国における日本向け牛肉輸出認定施設等の査察及び調査結果報告書 全文公開 2006年06月15日
米国産牛肉 アメリカのいい加減さ 2007年03月09日
米国産牛肉は、まだ食うな! 2008年01月18日

 さて、今回は、クローン牛である。

 
まず、昨日のさりげない次の記事をみてほしい。

クローン肉:牛の子孫、米は出荷自粛せず−−都内で公聴会

 体細胞クローン牛や豚、その子孫の肉や乳の安全性について、厚生労働省と農林水産省は19日、東京都内で公聴会を開いた。この中で厚労省は、米国がクローン家畜の子孫については出荷自粛対象からはずしたことを明らかにした。同省は「実態はつかんでいないが、その可能性は否定できない」と説明。国の食品安全委員会に評価を諮問した理由として挙げた。【下桐実雅子】

毎日新聞 2008年5月20日 東京朝刊


 このさりげない記事。このさりげない公聴会・・・・。
 ようは、クローン牛が、すでに日本の市場の平然と流れている。その事実について、厚生労働省と農林水産省は、みとめたという、重大ニュースなのだ。

 さて、クローン牛に関する情報だけど、多くのブロガーさんにこの件をふれてほしいとおもう。
 で、うちのニュース検索サイトに登録しました。

クローン牛に関するニュース

 ここにいけば、大枠で、この件にかんしての最新ニュースにふれることができます。
 これを、元にして、記事を書くなり、怒るなり、蹴飛ばすなり、すねるなり、それぞれの身の丈にあった範囲で、いくらでもいじり倒しましょう。

「ブロガーさんが、いじり倒すしかない」(ボス談)
 
 だそうです。なにかあれば、うちは、出来る範囲で応援します。協力します。必要におうじて、資料も公開します。提供します。殴り込むことも可能です(要相談)

 で、まず、第一弾の現場記者からのレポートです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クローン牛流通はまだ時期尚早

 by 食品安全問題取材チーム(座長・辻野記者)
 

「クローン牛の表示に当たっての基準は品質において差異があるかどうか、品質において差異がないと言うことであれば品質表示の世界では差異を設けることにはならない。
 これを義務つけると言うことになりますと輸入牛なども念頭に置きますとこれは内外無差別の原則がWTOの規則。さらに(クローン牛表示)には慎重な検討を要する」

 4月15日に開かれた衆議院農水委員会で若林正俊農水大臣はクローン牛についての表示に「それは特別にやらない」

 平然と答えた。

 厚生労働省は4月1日、「体細胞クローン技術を用いて産出された牛および豚並びにそれらの後代に由来する食品の安全」について食品安全委員会へ食品健康評価を依頼した。 

 クローン技術をおさらいする。

 日本ではこれまで受精卵クローン技術と体細胞クローン技術が発達中ですでに、

 07年9月30日現在 
 受精卵クローン牛   43機関 716頭出産

  精子と卵子を掛け合わせ受精卵を作る。発生初期に細胞が8分裂したとき薬品で細胞をばらばらにする。それを他の家畜から取り出した未成熟卵に電気的ショックを与えて融合・一体化し移植。そして発育させる。だからこの技術で生まれた牛は同じ体質を持った8つ子となり同じ品質だという。
 
 体細胞クローン牛  42機関 535頭出産
    クローン豚          256頭出産
      クローン山羊           9頭出産

 皮膚や筋肉からとった体細胞の核を別の家畜からとった未成熟卵の核に移植するとなっている。

 受精卵クローン牛については双子と同じ原理なので食品安全委員会の答申を得ずすでに食肉として処理され314頭が市場に出荷されているのだ。

 出荷された受精卵クローン牛の表示義務については00年3月31日付けで発表された畜産局長と農林水産技術会議事務局長の連名で、

「受精卵クローン牛は一般の牛と何ら変わるものでなく、一般の牛と同様に扱うことが適当と考えられる。
 受精卵クローン牛由来生物の流通、販売に当たっての表示は任意とする。
 また、受精卵クローン牛の通称は「受精卵クローン牛」または「Cビーフ」とする」

 この任意でかまわないという通達の結果、

 00年3月以降に出荷された215頭のうち102頭しか「受精卵クローン牛を表示」せず、他は普通の牛として処理され国民の胃袋に入ってしまった。

  それ以前までに出荷された(05〜00年2月)97頭はどこへ行ったかもわかからない。
 
 また、クローン牛についての問題まだまだある。死亡率が飛び切り高いということだ。

 農水省の発表によると

 受精卵クローン牛
   死産       10%
    生後直死         5%
      病死       14%

 体細胞クローン牛  
  死産       14%
     生後直死     17%
     病死       24%
   
   
 通常のホルスタイン種であれば出生死亡率は5%ぐらいだからクローン牛、特に体細胞クロン牛の死亡率は異常に高いと言っていい。

 クローン牛・豚については消費者団体や学者などからも「安全性」や「倫理性」からも懸念の声が出ている。

 体細胞クローン牛・豚問題ではアメリカでは1月に安全宣言をしたに続きEUでは5月中にも安全確認の結論が出るようだ。
 アメリカでは宗教上の理由からクローン牛の生産には50%もの反対があるという。

 クローン牛の安全性について国会で3度にわたって質問した,

 川内博史民主党議員が言う。

「今年の1月、アメリカ政府から体細胞クローン技術で生まれた牛やその子孫から生産した肉、加工品や乳製品の輸入を検討するように打診があった。
 日本政府はBSEの時もそうでしたが、日本国民の食の安心・安全よりアメリカの圧力に弱い。
 そこで形ばかり食品安全委員会を開いて体細胞クローン牛の安全を承認する計画なんでしょう。
 そうでないとアメリカからクローン牛肉が入ってくれば大問題ななりかねない。
 その前に日本政府として体細胞クローン牛は安全だと認めておく必要があるんです。
 体細胞クローン牛は4月から食品安全委員会で食品健康評価の討議がされていますが、受精卵クローン牛については安全だと言い張るのみで、全く再検討もしない。
 政府は同じ授精卵を取り出した生物だから双子や三つ子と同じ物だと言うが、受精卵を分割する際に薬品を使ったり、電気を使って細胞を融合させるなどという自然界と違う人為的な行為がなされていれば、これはとても双子とは思えない。
 同じ親から生まれた受精卵クローン牛でも若干牛の縞模様も違う。これで本当にうり二つの双子〜8つ子と言えるのかどうか。
 食の安心・安全からもう一度調べるべきでしょう。
 また、受精卵クローン牛や体細胞クローン牛には異常と思えるほど死亡率が高いし、老朽化もはやい。
 やはり何らかの問題があるとしか思えない。
 日本人の食の安心・安全を確保するためにも知見はきちんとやってもらと思うのだが、食品安全委員会がやるのは健康評価であってクローン牛が安全かどうかを検討するわけではない。依然として何故死亡率が多いのか、老化が早いのかは問題にならないというのだ。
  日本政府がクローン牛が安全というなら最低限、「クローン牛」「Cビーフ」などという
表示をきちんとさせるべきだ。
 消費者が口にする物はせめて何の肉かが分かるように選択できるようにするのは当たり前のことだと思うのだが・・・」

 岸田文雄消費者行政担当大臣は,

「クローン牛につきましては国民、消費者の立場から選択の幅、選択の権利は確保されなければならない。まずは科学的な見地から安全性をしっかり確認したうえで食の表示の部分については検討しなければならない」

 厚労省や農水省が推進しようとするクローン牛の無表示についてこう述べ、福田内閣の内部不一致をさらけ出した。

 クローン牛は現在一頭あたりのコストが200万円〜500万円くらいかかる。この状況では赤字だが、もっと技術が発達しコストが大幅に下がれば肥育農家も増えそうだ。
 ましてアメリカやEUがクローン牛解禁ともなれば世界的な食糧不足が噂され食料品の高騰が続けば大量増産に踏み切る可能性もある。
 なぜ高い出生死亡率と老化が早いのか、この問題が解決されないかぎりクローン牛は研究にとどめ国民の口に入れるべきではない。

 どうしてもやりたいというなら最低「Cビーフ」表示はしてもらいたい。

 私は絶対買わないが・・・・・。

以上

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