北朝鮮との交渉再会に向けての、安倍晋三 VS 山崎拓戦争の舞台裏です。

 参考:安倍晋三に関するニュース
     山崎拓に関するニュース  

「交渉中の政府より甘いことを国会議員が言うのは『百害あって一利なし』と言ったが『百害あって利権有り』と言いたくなる。国会議員は国益を考えて行動すべきだ」

 なんて安倍晋三前総理が山崎拓元自民党副総裁をこき下ろせば山崎拓はこれに応じて、

「核計画を止めさせようという動きがもう胸突き八丁まで来ている事を実は日本の政治家も我が党の政治家もよく分かってない」

 と安倍晋三へ切り返す。

 それでも腹の虫が収まらない山崎元副総裁は安倍晋三個人に対して「事実に基付かない発言や誹謗中傷はげんに慎むべきだ。安倍発言は名誉毀損にあたり発言を取り消せ」

 と言う内容の抗議文を6月19日付けで送りつけた。

   

「まだ安倍さんの方から返事は来てません。前総理が何を持って利権というのかサッパリ分かりません。こちらは朝鮮半島の非核化を推進したいと言う気持ちで行動してるだけです。日本の安全保障考えると朝鮮半島の核廃絶は絶対必要なんです」

 とは山崎事務所談。

 北朝鮮の核を巡って米朝間では相当な妥協が図られ、アメリカ政府は6月27日にも北朝鮮に対し「テロ支援国家」の看板を外す方針をきめた。
 ブッシュ大統領はイラク、アフガニスタンに戦争を仕掛け、テロとの戦いというイスラム勢力の排除を仕掛けたが、自分らの思った方向に動かずむしろ友好国は撤退へと動き出しているのだ。
 ブッシュの任期は残り少ない。そこで何とか外交で点数を取りたいと焦るブッシュは北朝鮮との国交正常化という歴史的成果を残そうと急ハンドルを切った。
 そんな中、日本もアメリカに言われ北朝鮮との対話路線を復活させる。これは安倍政権時代から続いた北朝鮮封じ込め路線を大転換事であり、福田政権は日朝国交正常化路線へと動き出した。

 これに怒ったのが安倍晋三前総理や拉致被害者家族会。

「拉致問題を蔑ろにするな」と猛反発。

 安倍元総理はこれまで自分がやって来た北朝鮮経済封鎖状態をぶっ壊そうとする福田総理に「ふざけるな!」と言いたいところ、現総理でもあり派閥の先輩でもある福田総理には言いにくい。
 そこで「日朝国交正常化推進議員連盟」の会長である山崎拓に噛みついたと言うのが真相だろう。

「ラチラチ」と言い続けたことで人気も上がり総理まで上り詰めた安倍晋三前総理にとって北朝鮮の拉致問題は自分の人生のような物。北朝鮮拉致問題以外に安倍さんが何をやって来たか知る人は少ない。

 それが否定されるような状況は許せないということか。
 まあ、八つ当たりされた山拓こそいい迷惑なんだろうなあ。

 今回の騒動について安倍晋三前総理の家庭教師でもあった平澤勝栄外交委員会委員長に聞いてみた。

「今回の件では安倍さんが悪い。最近の安倍さんはたまに後先を考えずにどんどん突き進む事がある。安倍さんは自分がやって来たことをひっくり返されそうな状況に苛立ったんだと思う。
 山崎さんが北朝鮮問題で動けく。それが利権取りというならライス米国務長官やヒル国務次官補も利権取りというのかねえ。
 加藤紘一さんら議連の人達も『おれ達は利権屋か』と怒っているし、アメリカもまた拉致問題ばかりいう日本のお陰で北朝鮮問題はほとんど動かなかったと怒ってますよ。
 アメリカに取って北朝鮮の核問題は大問題。これを解決できると言うことは大変な事なんです。
 安倍さんが頑張ってきたこの4年間、北朝鮮問題は一つも進まなかったし、その間、北朝鮮は核実験までやってしまった。
 拉致家族会にも問題がある。警察に『助けて欲しい』という依頼はいいが、『ああやれ、こうやれ』と捜査方針にまで口を出す。
 それどころか、拉致家族会は政府の方針にまで口を出している。
 やりすぎですよ。
 政府とは別に外交問題で国会議員が動いて何が悪い。外交というのは色んなルートからアプローチすることは大事なことです。
 以前、山崎さん等と中国で北朝鮮の人物と会った。その時、日本から拉致した人物を帰す用意はある。
 しかし、何人か帰すと、日本はまた『誰々を帰せ』と言ってくる。これでは拉致問題がエンドレスになりかねない。
 それをキチンとしてくれないと拉致問題は解決しないと言われた。
 安倍さんは拉致問題だけを強調するが核の問題も大事なこと。拉致と核問題を並行して進めればいいと思っています」

  元家庭教師は安倍晋三を突き放すのだった。

 安倍晋三は昨年9月、突然政権を放りだして病院に逃げ込んだ。その後、安倍前総理は自分は回復したからと永田町に復帰したが、安倍政権を支えてきた連中もほとんど安倍から離れていった。永田町というところは実に冷たいところなんだと言うことが安倍前総理に分かってない。
 安倍事務所にはこれまでいた飯塚、天川という秘書も去った。井上秘書官はまだいるようだが・・・・。
 安倍が話をするのは菅元総務大臣くらいなもの。

「私は元気になった。もう大丈夫だ」と時期復活を強調し、会館の安倍事務所には時々国内外の人物が出入りするするものの誰も「安倍総理総理復活」なんて考えてもいない。
 それに最近の安倍前総理は顔色も悪く、体調不良も噂されている。 
 自分の体調からか、北朝鮮の安倍外しの焦りからか、「山拓は利権漁り屋」発言が飛び出したのだろう。

 一方、「利権漁り屋」と呼ばれた山崎拓元自民党副総裁の状況はどうなのかと言えば、山崎派の会長と言ってもパットしない。
 山崎派は衆議院38名、参議院3名。合計41名の陣容。
 ところが、いち早く安倍晋三を担いで経産大臣になった甘利明が派閥内で勢力を伸ばし派閥を乗っ取るか、若手を連れて派閥を出ていく勢い。
 そうはさせじと山拓さんは石原伸晃を連れてきた。そこで派閥の人事を行い甘利明を会長代理、石原伸晃を事務総長に就任させ2人を適当に競わせて力を削ごうという苦肉の作戦である。

 これは山拓の恩師である中曽根康弘元総理が渡辺通雄と藤波孝生を競わせた前例によるらしい。思惑通り行くのかどうか・・・・。
 また、選挙区事情もある。
 山拓は一度落選の経験があり選挙も安泰というわけには行かない。
 それと、昨年9月に行われた福田康夫・麻生太郎の移民党総裁選挙で山崎拓は麻生を応援しなかった。山拓は昔から親しかった福田康夫を応援し福田総理を誕生させたのである。
 総裁選後、地元有権者から山崎事務所に
「なんで同じ九州の麻生を応援しないんだ。次の選挙では必ず落としてやる」と言う電話が度々掛かってきたとか。
 選挙への悩みも大きそうだ。
 それやこれやで永田町から埋没しそうな山拓の起死回生は朝鮮半島非核化問題。
 李明博韓国大統領誕生に会わせ山拓は加藤紘一、仙谷由人、辻本(訂正:辻元)清美らと訪韓。李大統領に面談した。
 これを機会に訪韓組を中心集め「日朝国交正常化推進議員連盟」を結成、会長に納まった。
 

 山拓の悲願は北朝鮮の国交正常化と憲法改正なのだそうだ。
 埋没しがちな自分の立場を一発大逆転するのが北朝鮮問題。自分の努力で北朝鮮問題が解決すれば歴史に名が残る国会議員となる。このためには北朝鮮からの話にホイホイ乗っていくという危うい場面もありそうなのだが・・・・。
 
 ともあれ安倍晋三も山崎拓も大人げないケンカから引くわけにはいかないとのこと。

「北朝鮮利権はずーっと先の話さ」

 平澤勝栄外交委員長がぽつりと漏らした。  

  これを読まれた方は、次の記事・・・・・

安倍晋三VS山崎拓戦争の舞台裏に田中均の名前 2008年07月01日

 も、ぜひお読みください。取材の視点をかえた記事です。

以上