戻り歩調、各国の金融支援策好感した買い戻しで=今週の東京株式市場
08/10/14 08:29 

 
[東京 14日 ロイター] 
 今週の東京株式市場は、前週の大幅下落から一転、反発するとみられている。週末に開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後に各国が金融支援策を表明し、金融市場の安定化を図る協調姿勢を鮮明に示したことを受けて、週明け13日は世界的に株価が反発した。休場明けの東京市場もこの流れを受けて買い戻しが入るとの予想だ。  
 国内株式はすでに売られ過ぎの水準まで下げていたとの見方が大勢で、テクニカル面でもある程度の戻りが期待できるという。

 今週の日経平均株価の予想レンジは、8200円─9500円。

<G7で各国が金融支援策を表明、米国は公的資金注入に向けて具体策を発表へ>  

 金融問題と景気減速感という2つの不安材料が一段と市場の不安心理を増大させ、日経平均は前週1週間で終値ベースで約2200円、20%強の急落を記録した。米金融安定化法案が成立したものの、実効性については市場はなお疑心暗鬼で、米国当局による公的資金注入の実績を催促する相場となった。  

 週末のG7後、各国は相次いで金融支援策を表明した。ヨーロッパ各中銀の更に踏み込んだ支援策に加え、米国が公的資金注入について実際に動き出したことから、市場では安心感が広がっている。

 米当局は日本時間の14日午後9時30分に、新たなクレジット救済策を発表する予定。13日付のウォールストリート・ジャーナル紙は複数の関係筋の話として、米財務省が国内銀行に約2500億ドルの資本を注入する対策を14日にも発表すると報じている。

 
市場からは「何よりも米国から具体策が出ることの意味が大きい」(国内証券)と評価している。    
 一方、スペインの銀行大手サンタンデール は米大手貯蓄金融機関ソブリン・バンコー プ <SOV.N> を買収する。ソブリン・バンコープが明らかにしており「金融問題の解決に向けて、さまざまなことが動き出した」(国内証券)と市場は好感している。

<米大手金融機関の決算やマクロ指標も目白押し>

 今週は15日のバーナンキ米FRB議長講演が予定されているほか、米国のマクロ指標と大手金融機関の決算が目白押しとなっている。15日の9月の小売売上高卸売物価指数、16日の消費者物価指数鉱工業生産、17日の9月住宅着工件数など「減税効果がはく落した後の米国経済の実態が明らかになる」(国内投信)ことから、市場の方向性を左右する鍵となりそうだ。

 週半ばにかけてはJPモルガン・チェース <JPM.N> やシティグループ <C.N> など大手金融機関の決算発表が予定されている。波乱要因となり得る半面、「ある程度の損失は想定の範囲内。悪材料に出尽くし感につながるかどうかに注目している」(国内投信)との声もあがっている。    

<買い戻しから、実需の買いにつながるかが鍵>  

 国内株式市場は、国内・外ともに機関投資家はパフォーマンス悪化による解約を受けた換金売りなどで買い余力がない状態となっている。下期に入ったが、国内機関投資家からのニューマネーは観測されない一方、ヘッジファンドなどの海外投資家も決算を前に売りが先行しているという。
 市場では「ポジション圧縮の動きはしばらく続きそうだ」とみられている。半面、決算などにしばられない個人投資家の一部には押し目買いを狙う動きも出始めているとの観測が出ている。  
 明和証券・シニア・マーケットアナリストの矢野正義氏は「今週の反発が短期筋の買い戻しから。実需の買いにつながるかが鍵」と述べた。国内の投信投資顧問関係者は「中期的には株価はまだ下値を模索する可能性があるものの、数年単位の長期スタンスでみれば歴史的に低い水準。配当利回りも上昇しており、余裕のある個人投資家のなかには今が買い時とみる人もいるのではないか」とみている。