「ぼやき三毛猫」、日本がダメだと世界がダメになる。
第5回目 月面探査ロケットと空母と潜水艦
「ぼやき三毛猫」さん(その実態はその筋さん)からの寄稿による不定期連載です。
アメリカは何故、月に星条旗を立てたのでしょうか?
そりゃお前さん、ケネディさんがキューバ危機の教訓と、当時のソビエト連邦との弾道ミサイル開発競争に勝つ為だったのでしょ?
そうです。正解です。
でも、月に宇宙飛行士を送り出すサポート体制は何処が実施しているか分かりますか?
ここが重要なのです。
つまり人が乗っている衛星を無事に地球に帰還出来る体制と、乗組員を回収出来る体制を作れる事は世界を制する事が出来る。
これが海軍力の強化に繋がる・・・・のです。
国防力を増強すると戦争が起こるとか言う方はほっといて、経済的視点で海軍を持つ意味を説明します。
海軍を持つ意味
1.輸送手段の確保
今なら資源や食料、工業製品の輸送は国の経済活動の要です。
最近多くなったソマリアの海賊はこの輸送ルートを狙っている。
船舶会社所有の船を邪魔して、乗組員を人質に身代金を要求する、とんでもない人たちです。
ちなみにソマリアは無政府状態の国家です。
ソマリア
外務省より
ソマリア民主共和国
ソマリア沖の海賊
では、世界の先進国は何故、船を沢山持つ事になるのでしょうか?
それはイギリスが植民地を沢山作って経済活動を活発化して繁栄した歴史を思い出すと分かるはずです。
(ちなみにスペインに勝った理由はインテリジェンスを重視した事と、『時』を決めた事による正確な『位置』を知る機会を得た事です)
(この時から金融経済の基が生まれていますね)
2.権益確保
権益とは資源と土地(既得権)確保の為です。
つまり、繁栄の源を確保する事です
だから経済と国防力を正しく理解しておく事は国の存亡を正しく知る事にもなるのです。
3.経済を作る事
さて先ほど述べた事は全てここに繋がる事になりますが、海軍力を増強する事は付帯的に支援する体制を作る必要が生まれる。
その為に必要な学問や技術、産業を創出する事になる。
この影響を受けて、新たな経済活動を創出する事になる。
『時』を知る事は『位置』を正しく知る事になると書きました。
緯度、経度はどう表示されるか分かりますか?
『時』を決める基準はグリニッジ標準時です。
つまり時計と天文学というのは海軍力強化の為に必要な学問だったのです
確かカーナビを売り始めた頃パイオニアさんが、TVCMでこんな名キャッチ・コピーを盛んに流しています。
オーストラリアで撮影したCMでフェラーリ348を後ろから走っている姿を映して
「道は星に聞け」
とナレーションボイスが流れるTVCMです。
これを見た米国政府・米軍関係者は驚いたと聞いてます。
この言葉を作ったコピーライターさんは凄い人です。
さてカーナビはご存じGPS航法衛星システムを使った日本のすばらしい製品です。
実はGPSというのは原潜が自分の位置を知る為に作った物がベースとなっており、その後、より精度と有事の際にジャミング(混信電波による作動不良)に強い航法支援システムを欲しがった米空軍と米海軍航空隊の思惑が一致して作ったシステムであったのです。
昔は海軍独自に航法支援システムが有りました。(ロランがそうです)
しかし地上から発信した電波を使って航法支援システムを使うと、どうしてもジャミング問題と地球に存在する電離層の影響を受けやすい。
(太陽の黒点観測はその為にします)
有事の際も通常の訓練の時も使えない時もある。これじゃ安全に運航出来ない。
そこで位置は星を作って聞けというシステムにしたのがGPSなのです
ちなみにGPSというのは正確な時を発している時計データを電波を衛星に向けて、発信しそれを今度は衛星から再発信した電波を受け取って位置と速度と高さを計算して表示できます。
グローバル・ポジショニング・システム
原子時計
ところで、日本のカーナビがGPSを管理する米軍の運営方針を変えさせたという噂を知っているでしょうか?
これは事実です。
湾岸戦争時には民間レベル仕様の電波送信システムは一時期かなり正確な位置を教えてくれる時がありました。
これは地上部隊に携帯GPS受信機を沢山持たせていた事もあって一時的な措置として運用した経緯があり、軍用レベルのGPS受信機を使う時により正確な位置を示す独自のやり方が有りますが当時は部隊配備に間に合わなかった事もあって不本意ながら一時的措置として異例な対応を取ったのです。
(私はこの軍用レベルの受信機を扱った事もあるし方法も知っています。管理する組織も知っていますが、国防秘で国益に反するので今回は詳しく説明しません)
どうして日本のカーナビが正確な事で米軍は民間レベルの測位精度管理を緩和したのでしょうか?
理由は補正電波とジャイロシステムが安く出来たので正確な位置測定が出来た。そうなると管理する意味が無くなってしまった。
日本全国のDGPS局(海保DGPS局)
DGPS・WAAS|フルノのテクノロジー|古野電気(フルノ) FURUNO
TOPCON ポジショニング D-GPS受信機
D-GPS 誤差補正情報サービスの終了について
更に言えばトマホークミサイルを使う時に軍事レベルのGPSは簡単に分からない様に管理しているし、GPS受信システムの基本的特許や半導体は米国が管理し売っているから問題ない。
むしろ米国より日本のカーナビシステムの先進性が高かった為にアメリカ政府が、国益になる事に気がついた事も関係しているはずです。
カーナビゲーション
今は自動車メーカーではこれを更に高度化して高度道路交通システム(ITS)という物を作っていますが、これを経済発展の創出として使うと国によって扱い方を間違えると大変な事になります。
(戦車部隊等の地上戦に使う指揮管制システムとして転用出来るのです)
高度道路交通システムとは
国土交通省道路局ITSホームページ
インターネットITS協議会ホームページ
国防力強化として宇宙技術開発で創出した技術が、経済に色々な波及効果として効果を表している好例です。
しかし、最近はこのアメリカ一国独占であったGPSシステムもロシア、欧州、中国にも独自のシステムを作る事で航法支援位置情報による一国支配への警戒から逃れる方向に進んでいます。
中国が先日、人工衛星撃破試験をやった事で新たな火種を起こした事になりました。
旧ソ連時代の頃は米国と旧ソ連(ロシア)は共に衛星を攻撃する事はロクなことにならない事を知っていました。
(当時はまだスカイラブがまだあった事で旧ソ連、米国双方で人を宇宙空間に待機させ研究させていた事もあります)
しかし、ソ連崩壊後はアメリカはMDシステムを構築していきます。
ロシアに対抗するのでは無くて本当は中国と北朝鮮、イラン、インド、パキスタンに対応したシステムでもあったわけです。
その後、インドにも核開発を認め、民需向けの原発開発を認めるようになりました。これは間接的にロシアの庭先である中央アジア地域と中国へのメッセージであるのです。
余計な事はするなという事です。
しかし、中国は無視して衛星撃破試験をやってしまった事で中国の宇宙開発と海軍力強化が本物であり、米国の一国支配に真剣に対抗する意思を示した事になります。
このように、空母と原子力潜水艦を持つ事と宇宙開発はリンクしているのです。
中国の原潜が日本で領海侵犯した事よりも、中国からやっている越冬鳥で起こる新型インフルエンザのパンデミックが怖いという方がいますが、それなら偵察衛星を使って中国の自然を毎日監視していると分かるはずです。
異常の兆候が見られるのですから。
国防力を強化する事はこういう事も正しく理解し上手く使う事で平穏の日々を作り、その積み重ねが平和という時を作った事に貢献する事になります。
正しい繁栄を自ら作っていく為に国防を知る事は経済を正しく知る事に繋がるのです。
ブラジルで原潜を作る計画があります。
ブラジルが原潜建造へ 仏が技術支援協定(産経MSN)
日本から遠く離れた南米地域でも海軍力強化をしている国があります。
これは中国とロシアと繋がりがある南米諸国の思惑もあるでしょう。
国防情勢(世界情勢)を知る事は国の思惑を知る事になるのです。
以上