この気持ちいったい何語だったらつうじるの? (よりみちパン!セ)この気持ちいったい何語だったらつうじるの? (よりみちパン!セ)
著者:小林 エリカ
販売元:理論社
発売日:2009-09
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 当方のボスいわく、「新しい才能を発見した!うちでも、イラストとか連載を書いてもらうように交渉しなさい」(当方ボス談)

 といい残して、一人、新宿ゴールデン街(最近、マスコミ不況で遠藤顧問でもいないと銀座村にいくことができない)に消えたボスです。
 それが、冒頭の小林エリカさんの「この気持ちいったい何語だったらつうじるの?」である。

 ところが、事務所のスタッフ一同が、一瞬、固まった。

「こんなに、繊細で華麗で清らかで、しなやかな才能を、当方のボスが蹂躙するのではないか?私はそっちの方が心配」(釜台記者談)

 うむ・・・・・。

 確かボスにはフェミニストが聞いたら悲鳴をあげそうな迷言がある。
 だから、福島瑞穂さんや、きっこ姐さんの前には絶対にだすことができないのだ。

「いい女は、いい文章は書けない。逆にいい男は、いい文章が書ける。オレみたいにだな・・・。つまり、神様は女性名詞だということだ。いい男にはほれるが、いい女には焼き餅をやく。女神とはよくいったものだ」(ボス談)

 そういえば、林真理子さんが無名時代、糸井重里さんの事務所でバイトしていたことがある。なにかのはずみで、糸井さんのところに遊びにいったことがあるそうだ。
 気のいい糸井さんは、「彼女はいい文書を書くのですよ」と紹介したそうだ。で、林真理子さんを一見したボスは、「なるほど、全身から才能があふれている。きっとあなたは直木賞をとれるでしょう。でないと世の中は不平等である。きっと、神様はあなたに文才をあたえるでしょう。神に誓って」といってしまって、その時に、同行していた確か集英社の編集者は、珈琲をこぼしたそうだ。

「うん?だが、オレの予感は的中しただろう。うん?福島瑞穂さんが、総理大臣になったわけでないのだから、それぐらいは許してくれ」(当方ボス談)

 しかし、都合のいいボスは、こうもいう。
「ただし、世の中は例外もある」(ボス談)


 その例外が、小林エリカさんだとういのだ。
 ボスがこれ以上、彼女の才能を蹂躙してはいないので、写真は掲載しないが、彼女のHPにでもいってみてください。
http://www.homesickless.org/flowertv/

 プロフィールは、

小林エリカ

1978年東京生まれ。作家。
ファッション誌・新聞・広告等でイラストも手がける。
2003年カナダバンフセンターにアーティスト・イン・レジデンス(国際交流基金)。
2006年エストニアEAA、フランスCAMACにアーティスト・イン・レジデンス(野村国際文化財団)。
2007-8年アジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でアメリカ、ニューヨークに滞在。
現在、東京在住。

著書は小説に「ネバーソープランド」(河出書房新社)「空爆の日に会いましょう」(マガジンハウス)コミックは詩をモチーフにした「終わりとはじまり」(マガジンハウス)「 この気持ちいったい何語だったらつうじるの?」(理論社YA新書よりみちパン!セ)などがある。

 

 
 ちょっとHな話などもあって、
  「空爆の日に会いましょう」では、

 空爆の日に、他人の家で、セックスもなく、ただ夢を見る。どこかで起きた「殺戮」を忘れないために・・・

「多分、ボスは、その部分しか読んでいないのではないか?」(釜台記者談)という説もある。
「いや、新しい才能を、ただの、巷にあふれている反戦平和の物書きにしないために、ボスが介入しようとしたのではないか?」(北岡記者談)
「だから、それが、いらんお節介であり、才能の蹂躙だとオレはいいたい」(辻野記者談)
 とまあ、事務所では、様々な意見が交錯しています。

 そこで、新著です。


この気持ちいったい何語だったらつうじるの? (よりみちパン!セ)この気持ちいったい何語だったらつうじるの? (よりみちパン!セ)
著者:小林 エリカ
販売元:理論社
発売日:2009-09
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 これは、オレ的にいうと、「馬鹿の壁」なわけです。
「話せばわかる」といって殺された総理大臣もいました。
 お国のためとおもったけれど、銃殺された青年将校もいました。
 ブッシュの勘違いで、縛り首になった大統領もいました。

 つまり、『何語』でもつうじなかった。
 しかし、彼女は、「馬鹿の壁」の前に立ち止まりません。
 それが、「何語だったら、つうじるの?」と記述します。

 本書は、2006年9月11日のエストニアからはじまります。
 1998年9月11日、旧ソビエト連邦の占領下にあったエストニアは独立をもとめます。
 そして、2001年9月11日、アメリカでは、ビルに航空機が突入。

 彼女は、9月11日ときくと、つい身構えてしまいます。

 では、小林エリカさんに、自薦を書いていただきましょう。


 小林エリカ

 指先と指先をあわせたらE.T.みたいに気持ちが伝わったらいいのに。
 言葉なんてなんにもいらなくて、心がつうじたらいいのに。
 わたしは思うように言葉を伝えることができなくて、しょっちゅうそんな風に考えてしまいます。
 けれど、言葉があるから、わたしたちは、千年前の人の作った歌を、地球の反対側に住む人の詩を、読むことができるのです。
 そして、そこに、おんなじ気持ちやちがう気持ちを、いままで知らなかった気持ちを、みつけることができるのです。
 言葉があるから、わたしたちは、争いを、すべてを力だけで解決しようとすることをやめることができるのです。

 そんな言葉のことを、遠くのことを、近くのことを、あなたのことを、わたしのことを、世界のことを、もっともっと知りたくて、わたしは旅に出ました。

 9月11日エストニアの「歌う革命」からはじまる、「言葉」と「戦争」にまつわる、わたしのささやかな旅の軌跡です。

 
  以上