【時代小説発掘】
春の床
篠原 景


【梗概】: 
情(じょう)なし女の心にひそむ春の床

・・・吉原の女には、床入りのときの着物の脱ぎ方一つにも作法があるのだが、玉井は、
「さあ……」
と仙助を伴って、屏風に囲われた床へ移ると、仙助の着物を脱がせながら、自らも共に急いで脱ぎ始めた。
 恥じらう素振りなど煩わしかった。簪も抜き取り、すべて脱ぎ捨て、周りに散らかした。着物が皺になろうと構わなかった。
 そうでもしなければ、この男に、置いていかれてしまうと思ったのだ・・・ (本文より)

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春の床  2010年9月22日 12時10分