【時代小説発掘】

江戸浅草物語13「天海僧正の結界が破られる時、魔界の者たちの進撃が始まるのか」
佐藤 高市(さとう たかいち)


(時代小説発掘というコーナーができた経緯)

梗概:
 浅草寺に近い浅草花川戸むじな長屋の住人たちの物語。
 天海僧正は、江戸城を守護するために四神相応(しじんそうおう)の結界を作った。だが、利根川の東遷で、東を守る青龍の位置が変わった。
 将軍吉宗は、富士山大噴火を言い当てた陰陽五行の天才占い師佐藤瑞法に、ほころびた結界を修復するように命じる。
 西国で貴人の石棺が見つかり、石棺の天井には星宿図が描かれていた。星宿図には、天球の星座と太陽や月の動きがそこに示してあった。石棺の四面の壁には、四神が描かれ、そこには、十二支像も描かれていた。
 石棺に葬られた天皇等の貴人は、その空間の中で永遠の眠りにつく。星宿図は、中国で生まれ、朝鮮半島を経て日本にもたらされた。
 佐藤瑞法は、星宿図が描かれた石棺の空間に森羅万象をつかさどる宇宙を見る。
星々は、北辰(北極星)を中心にして、東方の青龍、北方の玄武、西方の白虎、そして、南方の朱雀へ動くのだった。
 将軍吉宗は、江戸城から星々の動きを常に見ていた。星の動きは、秩序だった筋道があった。
吉宗と佐藤瑞法は、星宿図によって、中国の二十八宿に辿りついた。太陰(月)は、二十八の星座を一日ずつ巡る。
 陰陽五行の天才占い師佐藤瑞法は、天の動きを陰陽五行の占いに取り入れようとしていた。それが、天海僧正の結界のほころびの修復につながる。
 享保八年八月のことだった。天海僧正の結界が破られようとしていた。それは、江戸城から北に向かって、東照大権現の祀られる日光、そして、会津が二百十日の大雨と大風に襲われていた。
四神相応の結界が、北から崩れていくのだった。結界が破られる時、関ヶ原の戦いの怨念を抱く魔界の者たちの進撃が始まる。


プロフィール:   
酉年でも喧嘩鳥の生まれ年で単純明快 東京都生まれ 
小説「谷中物語」で茨城文学賞受賞
江戸を舞台の小説「入梅」が韓国の常緑樹文学に翻訳掲載
江戸の歴史研究会会員 
 

これまでの作品:

江戸浅草物語1 「浅草花川戸むじな長屋の住人たち」
江戸浅草物語2「徳川幕藩体制の最大の危機」
江戸浅草物語3「徳川幕府の危機に陰陽五行の天才占い師参上」
江戸浅草物語4「徳川吉宗、雌伏して時を待つ」
江戸浅草物語5「神君家康の化身徳川吉宗が将軍職に就く日」
江戸浅草物語6「北辰(北極星)に神君宿りて、江戸を守り給え」
江戸浅草物語7「津軽から来た力士柏富士を愛でる相撲甚句」
江戸浅草物語8「徳川幕府の結界が破られる時、北辰(北極星)は輝きを失うのか」
江戸浅草物語9「星宿図の謎に陰陽五行の天才占い師が挑む」
江戸浅草物語10「江戸の結界の謎を解く陰陽五行の天才占い師(続編)」
江戸浅草物語11「筑波山神社の天地開闢(てんちかいびゃく)の剣が江戸を守る」
江戸浅草物語12「徳川幕府安泰への祈りは続く」




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