IT音痴の雑誌記者が、いかにウィニーを完全かつ、有効に活用しようとしたかの、弥次喜多道中記である。
これまで、ウィニー対策、ウィニー対策2を備忘録として記してきたが、やはり、ちゃんとしたことを知りたければ、ここを、見てもらいたい。なんせ、うちはIT音痴だから・・・。
「ウィニーにおける情報漏洩を防ぐには、ウィニーを禁止すればいいのだ」
ときわめて短絡的な考え方をしている人が、実は、警察庁の複数の幹部にいることは事実だ。これはウィニー開発者逮捕という、異例の事件をみればわかるのだが、ここではふれない。
正しくは、ウィニーにおける情報漏洩を防ぐには、ウィルス対策をちゃんとすればいい。となる。
すでに、ウィニー以外による情報漏洩があいついでいる。ウィニーだけを、血祭りにして、禁止すればいいもんじゃないというのは、だれがみてもわかることだ。
では、このウィルス対策というやつ。
実は大変に面倒くさい。
ウィニー対策2でふれたけれど、うちとしては「ウィニー専用のPC」を稼働させたけれど、ウィルス対策ソフトがピーピー警告音を発する。警告したファイルは開かなければ、まず、ウィルスに感染しない・・・となるのだが、実は、ファイルの種類よっては、「ひょっとして、お宝情報かも?」とおもわせるものもある。
週刊誌の袋とじと同じで、結果はわかっていても、開かずにはいられない。いや、「危ない!」といわれればいわれるほど、ビリビリとあけたくなる。
まして、ボスもいっている。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
そこで、ウィルスソフトをはずしてみた。おおお・・・・・快適だ。ばしばし、ダウンロードされる。ウィルスのひとつやふたつどうしたもんだ。
なんせ、ウィニー専用のPCだ。
ところが問題がおきた。
IT音痴のボスが、このウィニー専門PCのことを、銀座の飲み屋にいって、あちこちのクラブのオネーちゃんにさもありげに吹聴してあるいた。「あら、この人(おっさん)IT関係かしら?」と勘違いするオネーチャンが出現しないとも限らない。・・・・という程度の話ならいいのだが、そうではない。笑っていられない事態がおきたのだ。
それをやったのはオレだった。
ウィニー専用のPCでダウンロードした、さるファイルをCDにやきつけて、自宅でじっくりみることにした・・・・。
あああ・・・・・・。うかつだった。
あたりまえのことを、わすれていた。このファイル自体が、ウィルスに汚染されていたのだ。IT音痴のボスをあざわらっている暇はなかった。
幸いにも、オレは、少し知恵があるから、ADSLの回線をただちに引き抜いた。
これは以前、情報セキュリティー関係者を取材したときに聞いた、「ハッキングも、不正アクセスも、回線さえ切断したら被害は拡大しない」という名言を記憶していたからだ。
完全に、ウィルスに汚染されたオレのメインPC。これは、実は今年の2月に購入したばかりの、ピカピカだ。ウィルスソフトもピカピカのはずだが、使い手がバカだと、簡単に汚染されるという、典型だった。バカだった。
そのPCは当面使用停止。
さらに、事務所のウィニー専用PCにも、大きく張り紙をかいた。「見るだけよ、触ったり、乗ったり、繋げたり、持ち出したら、ダ・メ・よ!花電車!」
これは、名文だとボスから感心されたが・・・。
かくしてボスの友人で、某情報セキュリティー会社の役員をしている専門家にきてもらった。この友人も、忙しいのはわかるが、事務所にビールとウィスキーをひっさげ、若手の部下を同行させてきた。あとの作業は、部下にまかせて、「手間賃かわりに、寿司ぐらい出前しろ!上じゃなく、その上のやつ」とボスに命じ。あとは、ボスとひたすら、酒を飲み談笑していたのだが・・・。
それはそれでいいとして、この優秀なエンジニアさんはうちの、ウィニー専門PCをみて、感嘆の声をあげた。「これは、見事だ。最新のウィルスがぎっしり生息している。サンプルですこしもらっていきます」と感心された。
さて、ここまで書けばわかるだろう。
ウィニーでも、ウィニーでなくても、ウイルスによる情報漏洩の危機は常にあるということだ。そこで、ウィルス対応ソフトとか、検出、強制終了、削除ソフトがあるし、常時監視するシステムもあるし、ま、注意すればいいのだ。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とか、いってはだめなのだ。
ところが、人間のやる技である。見るなといわれれば、見たくなる。袋とじは、開けたくなる。
・・・・・だから、これだけ情報漏洩が話題になっても、全国のどこかで、誰かが、常に、情報漏洩の危機にさらされてしまうのである。
ここは、ボスの話がいい。
「ま、ウィルス対応ソフトはいれるとして、それでも感染する。それでも情報漏洩する場合がある。それに対する対応はないか?」
「うーーーん。流出や漏洩してもわからないように、データを暗号化することかな?うちではやっていないけどさ・・・・」
ボスの友人の役員氏がさりげにいった。
さて、そこで、IT音痴の雑誌記者がざっくりと調べたところ、あたったのだ。ま、ちょい高いけど、もしかしてこれかもしれないというソフトに。
各種の暗号化ソフトがあるかもしれないが、ボスが「できれば、純国産品がいい。さらに、エシロン対策もできたら、なおいい、そして、オレでもつかえそうなやつ」とこれまた、無茶をいう。
そこで、みつけたのが、Encrypta Client Ver.1.1 だ。なんということはない、これもボスの知り合いの知り合いが開発していたこがわかった。
これは、仮想ディスク暗号ソフトというやつだ。しかもボス好みの、純国産である。しかも、簡単らしいのだ・・・・。
ボスは無邪気だから、
「おい!これは、エシロン対策にもつかえるか?」
とさらに訳のわからんこといいつつ・・・・
そして、かくして、この「仮想ディスク暗号ソフト」導入作戦がはじまったのである。
(あと、続く、とおもう多分)