「皆さんお帰りなさいと申し上げたい」
 安倍晋三総理は12月4日、党本部で開かれた復党組11人を目の前ににこっと笑いながら復党を許可した。
 自民党復党劇は安倍晋三新総理誕生以降、「反対」「賛成」を交えてすったもんだしたものだ。
 復党賛成派は
「来年の参議院選挙に何としても勝ちたい。その為には選挙に強い造反議員を復党させ応援して貰いたい」
 復党反対派は刺客当選者や比例当選者等を中心に「復党反対」の署名運動を展開するなど、賛否両陣営の戦いは激化していった。
 それがようやく「何も言わない」安倍総理の決断と言うことでようやく決着。
 平沼赳夫元経産大臣をのぞく堀内光雄元通産大臣等11人がはれて自民党に復帰することとなった。

「晴れて」の裏には曇りも雨もある。
 刺客当選・造反当選組が激突する衆議院岐阜1区は佐藤ゆかり副幹事長、野田聖子元郵政大臣が復党を巡って熾烈な戦いを行っている選挙区の一つである。

 自民党現職の佐藤ゆかりは初当選後、毎週に土日には岐阜へ帰り、後援会を集めて
「造反議員が自民党へ復帰すると小泉改革が後戻りします。郵政民営化に反対して除名された人を復党させることは筋が通らない」
 と訴えている。
 最近では野田聖子に近かった市議会議員や県議会議員が「復党近し」と徐々に佐藤陣営から「野田陣営」へと移り始めているのだ。
 佐藤ゆかりは焦って11月20日、来年4月に行われる県議選の自民党公認第一次候補に「私は岐阜県第一支部長だ。県議の公認は私のやり方でやる」
 と野田聖子派の現職県議2人の公認申請を外す行動に出た。

 

 これには市議会議員や自民党支持者からも「やりすぎだ」と言う声も。
  復党問題が浮上してからは佐藤ゆかりも「どんな小さい会合でもいいから」と地元秘書に命じ、10〜20人ぐらいの会合にも頻繁に顔を出し「筋が通らない」と叫び続けているそうだ。

 一方、対する野田聖子は「郵政民営化反対」で自民党離党を余儀なくされ刺客・佐藤ゆかりまで突きつけられた。
 昨年9月ようやくと当選したものの武部勤前幹事長によって自民党県連組織がガタガタにされ野田自身の後援会や支持団体も引き離されてしまった。
 また、、支部組織のない野田聖子は企業献金をもらえない。そのことで金銭的に追いつめられてしまった。
 さらに、野田聖子は古くからの支持者に
「あんたは中央ばかり見ている。もっと岐阜県のことも考えろ」と忠告された。
 それ以降は頻繁に岐阜に帰り必至になって小さな会合をいくつもこなし、「自民党に帰りたい」と涙ながらに訴えてきたこともあった。
 11月には野田聖子後援会主催の「上諏訪温泉研修旅行」を12日間に渉って挙行。3000人から4000人を集めたという。
 研修会は午前7時30分に岐阜を出発。長野県上諏訪旅館の夕食時、野田聖子代議士がそこに駆けつけ「もうすぐ自民党に復帰出来そうだ。そうなればもっと地元のお手伝いが出来る」と繰り返し言ってきた。
 ちなみにこの研修会には亭主という関係の鶴保庸介参議院議員は来てない。
 地元でも「野田聖子離婚」という記事には一様に「何も知らなかった。ビックリした」 驚きの声が挙がっている。


 刺客で当選を果たしたのは衆議院静岡7区の片山さつきだ。7区には安倍晋三唯一の子分である城内実がいる。
 城内は安倍晋三のの反対を押し切り「郵政民営化法案」に反対し自民党離党を余儀なくされた人物。
 片山は選挙後も城内実を復帰させまいと地元に頻繁に帰り、お祭りなどには積極的に参加してきた。

 片山さつきと佐藤ゆかりの2人は9月の自民党総裁選挙で安倍晋三を担ぎ、「私は安倍さんの鞄持ちよ」とばかり安倍晋三に交代でくっついてマスコミに出まくっていた。
 その功労か安倍晋三総裁就任後の人事で片山さつきは自民党広報局長、佐藤ゆかりは自民党副幹事長にそれぞれ1年生では異例中の異例就任。

 これで増長したのかこの2人実に行儀が悪い。年配議員の間では「態度がでかい」そうだ。 
 
 安倍晋三側近を自負し、「安倍晋三総理から信頼されている」と勘違いしたのか、「造反議員の復党は絶対許さない」と大手を振って行動していた2人に暗雲が立ちこめてきた。
「造反議員の復党問題」急激に浮上してきた最中の11月29日、2人が所属していた経済産業委員会では安倍内閣が威信を賭けた「官製談合防止法改正案」の採決に欠席したのである。
 国会議員の仕事は委員会と本会議に出ることであるはず。それが事もあろうに法案採決を欠席するとは何事か。
 片山さつきは「電話をしていたので採決に間に合わなかった」
 佐藤ゆかりは「委員の差し替えをお願いしていたが、秘書の連絡ミスで出席できなかった」
 
 佐藤ゆかりの場合11月10日にも財政金融委員会の「関税暫定措置法」の採決に欠席していることも判明。
 佐藤事務所によると「委員会には出席していたが採決の時には外れていた。急いで駆けつけたが採決には間に合わなかった」

 自民党中堅代議士が言う。
「佐藤ゆかりは経産委員会の採決の時、自民党造反議員復党反対の署名簿を持って中川幹事長に会いにいていたんだ。そもそも、1年生が自分の都合で委員の差し替えを言うなんてそれこそ10年早い。1〜2年生の時は大臣経験者等から「オイ、00委員会に出ておいてくれ」といわれ「はい」と言うしかない立場なんだ。自分のミスを秘書のセイにするとは・・・。まったく、自分を何様だと思っているんだ」

 自民党古手秘書。
「佐藤ゆかりの事務所ではこの1年で秘書が6人くらいやめている。佐藤議員本人が秘書を信用せず自分の公私にわたるスケジュールを教えないんだ。今回の言い訳、秘書の連絡ミスと言う事なんてあり得ない。
 佐藤事務所に入ったらその内、『事務所のことは外部に漏らすな』という誓約書を書かせるという。
 事務所の中でも秘書同士お互い話さないようにといつもぴりぴりした空気が流れている。 こんなんじゃやってられないというんで事務所を辞めたそうだ。経産省から来ていた秘書も最近辞めたそうだな。佐藤ゆかりはなんか勘違いしているよ」

 ちなみに片山さつき、佐藤ゆかりの2名は自民党にて懲罰。
1,国会開会中の海外渡航禁止
2,委員会の差し替え
3,国会対策委員会への出入り禁止
 国会軽視した割りには甘い処分。
 まあ、武部前幹事長が「出て行け!」といって自民党から追い出した議員を「体制が変わったから帰って参議院を助けてね」と簡単に復党させる。こんな野放図の自民党ならその程度でしょう。


 11人が復党した。話題は
 佐藤ゆかりVS野田聖子  
 片山さつきVS城内実
 と言うんじゃ、全くつまらない。
  しかし、問題は山積みなんだが・・・。
 11人の自民党復帰で選挙区公認問題をどうするのかは先送り。支持率低下に悩む安倍晋三総理には「公認問題」というさらに泥沼が待っている。

文責:辻野匠師

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