小泉純一郎前首相を首相秘書官として支えた飯島勲氏が12月8日、政権の舞台裏を描いた「小泉官邸秘録」(日本経済新聞社)を刊行した。
郵政民営化や北朝鮮訪問などで前首相が下した決断の背景や、飯島氏自身が手腕を見せたメディア対策についても一端を披露。
同書で飯島氏は「トップダウンの小泉は、国民にいかに政策の内容を直接分かってもらうかが重要だった」と記者会見のテレビ中継など、国民に直接語りかける手法を重視した理由を説明している。
飯島氏は「小泉政権1980日の備忘録として、政局を読む参考になれば」と話している。
ま、飯島秘書といえば、うちの辻野記者なども縁浅からぬ関係なのだけど、我々、雑誌業界にいるものとしては、週刊誌を、起訴しまくった秘書官として有名。
有名なものとしては、以下の4件を掲げることができるだろう。
起訴するのは、いいとして、それぞれの賠償金額に注目してください。
1;『週刊現代』の平成17年1月22日号(8日発売)に掲載。「小泉首相と飯島秘書官 入れ替わった『主人』と『使用人』」。ジャーナリストの松田賢弥氏が執筆。
記事内容は、 <30年以上にわたり小泉の「使用人」として仕えてきた飯島。しかし、その事実上の主従関係は、逆転してきている>という主旨、小泉首相を陰で操る飯島秘書官の実像をルポしたもの。
これに対して飯島秘書官は、虚偽の事実で名誉を傷つけられたとして、発行元の講談社と松田氏に1100万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
2:『週刊文春』平成15年1月16日号に掲載。「小泉首相秘書官が月四回密会する北朝鮮工作員」。文藝春秋に対して、3300万円の損害賠償などを求める訴訟を起こした。
記事は、「小泉首相秘書官が月四回密会する北朝鮮工作員」と題するもの。日朝国交正常化交渉が暗礁に乗り上げたために、官邸独自のルートとして、飯島秘書官が在日の北朝鮮工作員と極秘に接触していたという内容。
3:『週刊新潮』平成16年5月20号に「首相秘書官の『謀略リーク』に敗れた『福田』」というタイトルで掲載された記事。新潮社に対して1100万円の損害賠償請求など。
訴えられたのは、福田康夫前官房長官辞任の引き金になった年金未納問題は、飯島秘書官が週刊誌にリークしたものだったという政界の権力闘争の内幕を報じたもの。
4;『週刊現代』平成16年8月21、28日合併号に掲載された「『陰の総理』が大放言 安倍は辞任じやない、リストラだ」という記事。講談社に1100万円の損害賠償など。その記事は、参院選自民敗北直後の安倍幹事長の辞任発言に関して、飯島秘書官がタイトルにあるような発言を記者との懇親会の席でしたというものだった。
我々の感覚では、いわゆる完全なデマ記事なら、相手にされない。「相手に痛いところをつかれると」訴えてくる。というのがある。
もちろん、総理であろうが、総理秘書官であろうが、日本国では、「裁判を受ける権利」は憲法で保証されている。それについては否定しない。
しかし、総理や秘書官は、仮に名誉を毀損されたり、人権が毀損されたとしても、その趣旨を表明する機会や、反論する方法は、いくらでもあるし、いらでも保証されている。まして、記事を書かれた背景を調査したり、取材や記事を書いた記者や、担当編集者に対する情報は、それこそいくらでも集めることが出来る。つまり、厖大な権力をもっているのだ。
でなければ、我々の間で、「飯島リスト」なる風聞がでまわるわけはない。
つまり、やり過ぎなのだ。権力の渦中にいる人間は、やり過ぎに気づかないかもしれない。
しかし、それは、「権力から、離れた時に気づく」とは、かっての総理大臣経験者。
つまり、何がいいたいかというと、そのしっぺ返しは必ず来るだろう・・・・という因果応報である。
因果応報・・・・という言葉を、この本に献辞したい。
うん?それぐらい書いても、訴えてこないだろう・・・。
文責:北岡隆志
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