とうブログには似つかわしくない、文学のお話です。
「おい地獄さ行《え》ぐんだで!」
二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛《かたつむり》が背のびをしたように延びて、海を抱《かか》え込んでいる函館《はこだて》の街を見ていた。――
この書き出しからはじまる小説。
小林多喜二著の「蟹工船」の書き出しだ。
これをもじったうちのボスは、うちの事務所にくる新人さんに、
「おい地獄さ行くんだで!」
君たちは、このデスクにすり寄りかかり、為政者の欲望の海を抱え込んでいる東京の街をみていた・・・。
覚悟はできているな?」
というのだけど、実は、最近の若い人は、まったくピンとこない。そりゃそうだろう、小林多喜二も、「蟹工船」も読んだことはないのは当然として、聞いたこともない人が多いからだ。
「はあ?」
って顔するんだけど、その場でボスが蟹工船の文庫本を渡す。
ここで注意してほしいのは、小林多喜二の蟹工船を読ませて、「赤化工作」をしようとしているわけでないということだ。
「蟹工船の状況と、2・26事件の青年将校の状況と同じなのである」
という持論をボスはもっている。その状況を、時代背景から理解してもらおうという・・・のだが。
こんなこといっているから、「右」にも、「左」にも、さらに良識あるとされる「中」のひとにもきらわれるのだが・・・・・・それはそれで、ボスの天然だから、しょうがない。
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ボスの持論によると、
「右の人こそ、蟹工船をよんでほしい。左の人こそ2・26事件の青年将校の手記をよんでほしい」
となるのだ。
その他なんかは、「中の人はどうしますか?」
とボケかますから、
「両方読め!」と殴られるのだ。
「これはオレの特殊な性格かもしれんが(・・・はい、十分に特殊です)、だってその状況におかれたら、オレだって、刑務所で拷問死するか、2・26で銃殺刑されるか、特攻で自爆死したかもしれん・・・・・・おまえらもそうだろう?」
「・・・・・・・・・・・・」(一同)
とボスはいうのだ。
ま、現実の生活をみていると、とてもリアリティある発言とはおもえない・・とは一応いっておく。
ところで、やや旧聞に属するが、『蟹工船』がブームらしい。
『蟹工船』ブーム
1933年、逮捕されたその日のうちに警察の拷問で虐殺された小林多喜二の小説、「蟹工船」が今マンガでかくれたブームになっている。この小説は、戦後まもなく解禁された「プロレタリア文学」の代表作として、青年の間で必読書のように読まれたものだ。しかし、やがて高度成長が始まるとともに、その過酷で暗いイメージが敬遠されたのか忘れられてしまった。
それがこのほど、マンガに再現された『蟹工船』としてお目見えした。同書は“資本主義社会の矛盾としての「格差社会」を鋭く批判した内容が分かりやすく描かれており、高校生や大学生らの評判になっている。
(出典:毎日新聞)
その漫画は、「30分で読める大学生のためのマンガ・蟹工船」 原作:小林多喜二 作画:藤生ゴオ 企画:白樺文学館(我孫子市) 発刊:東銀座出版 定価:600円(税込)
だというのだ。
ところが、いろいろ調べてみると、この「蟹工船」は著作権切れになっていて、つまり、だれでも自由に転載、掲載できるというのだ。
そこで、いろいろ調べてみると、
インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)さんというところが、この手の著作権切れの本を、多数収納していることがわかった。
著作権切れの本の収納といっても、入力作業や、校正作業。表記、ルビなどを、原作を損なわない範囲での編集作業が必要だ。そうしてはじめて、ネットで読むことができる。
聞くところによると、全員ボランティアでやっているそうだ。
大手の出版社は一体何をしているのか?
と思わずおもってしまうのだが・・・・・
今回、青空文庫さんのテキストをかりて、小林多喜二著 「蟹工船」の全文を、別館資料室に収納してみた。
タダでよめるから・・・という姑息な考えだけでは、読んで欲しくはない。
先人達の、財産を共有したいという願いがあるだけだ。
収納にあたって、重ねて青空文庫さんに、謝辞を呈したい。
調査分析報道・資料倉庫 BY オフイス・マツナガ に収納。
「蟹工船 小林多喜二 全文読む」
蟹工船 小林多喜二 全文読む1
蟹工船 小林多喜二 全文読む2
蟹工船 小林多喜二 全文読む3
蟹工船 小林多喜二 全文読む4
蟹工船 小林多喜二 全文読む5
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蟹工船 小林多喜二 全文読む10 最終章