小沢一郎さんというと、昨年話題になった「防衛省疑獄事件」でも、重要なキーマンとして登場する。
これに関しては、「防衛省疑獄事件」の本件でなくて、「脱税」」で逮捕、起訴された秋山直紀氏が、逮捕直前に興味深い一冊を上梓している。
防衛疑獄
著者:秋山 直紀
販売元:講談社
発売日:2008-09-17
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秋山直紀氏とはゴルフ友達のボスなどは、「最後の武器商人になれるか、なれないか?」(ボス談)などと表現していたが、「結局、最後の武器商人になりそこねた」(ボス談)らしい。
つまり、捜査当局は「防衛省疑獄事件」の本丸には、攻め入りことはできなかったけれど、「脱税で逮捕、起訴」ということで、「武器商人」誕生を阻止したことになる。
この秋山直紀氏を、追い詰め、追い込んだ記者が、社会新報の田中稔記者だ。当方のボスの知り合いである。
「秋山が、一番いやがっていた記者が、田中稔記者」(当方ボス談)だそうだ。
しかし、秋山氏とは、ゴルフ友達で、それを追及する田中記者とはお知り合いというあたり、当方のボスというのは、「まったくもって不思議な立ち位置にいることが多い」(北岡記者談)といわれているが、
「うん?
それは、それ、これは、これだ。
つまり、是は昰、非は非。
約束は守る。
守れない約束は約束しない。
姑息に身を処さない。
なにも特別なことではない」(当方ボス談)
その田中稔氏が、野田峯雄氏と共著で上梓したのが以下の書籍である。
「憂国」と「腐敗」―日米防衛利権の構造
著者:田中 稔
販売元:第三書館
発売日:2009-03
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早速、田中稔氏に連絡をとり、自薦の弁を書いていただいた。
以下、秋山直紀氏が一番恐れた記者、田中稔氏からの寄稿である。
「憂国」と「腐敗」―日米防衛利権の構造
筆者田中稔の自薦の弁
大山鳴動した挙句に、ネズミ3匹かよ、なぜバッジをやらないんだよ、と記者たちは一連の防衛疑獄事件を取材していて愕然としたに違いない。東京地検特捜部は小さな事件に切り縮めてしまった。
守屋武昌元防衛事務次官と宮崎元伸山田洋行元専務によるゴルフ接待や小さな金銭授受などの小さな贈収賄事件にである。
秋山直紀氏の方も、見え隠れしていた防衛族のバッジには届かずじまいで、小さな脱税事件に矮小化した。結局、小じんまりとした事件に終わってしまったけれども、垣間見せた疑惑は、まさに日米にまたがる漆黒の闇だった。
これを逃す手はない。
とにかく、収集した膨大な資料、メモ、等を一冊にまとめよう、と共著者の野田峯雄さんと決意。野田さんは『破壊工作 大韓航空「爆破」事件の真相』(宝島社)などの著者でノンフィクションの超ベテランの人。
野田さんとは、05年2月の凍てつく夜、品川の三菱開東閣の入り口で張り込み、出入りする防衛族の車のナンバーを確認した間柄。その時、三菱開東閣で防衛族と共に三菱グループから接待を受けていたのが秋山直紀(社)日米平和・文化交流協会専務理事だった。
あれから丸4年の歳月が流れた。この本は、防衛族サロンに接近してからの丸4年間を総まとめたようなもので、野田さんの大奮闘がなければ成しえなかった。
年間防衛予算5兆円の大海原の中にゆっくりとうごめく、防衛省「制服組」と「背広組」、三菱グループやロッキード・マーチンなどを筆頭とする日米軍需産業、そして防衛族議員たち。一昨年秋に発火した山田洋行事件に端を発した一連の疑獄事件に登場する具体的な群像を総まとめし、特に疑惑のフィクサー秋山直紀被告が事務局長を務めた防衛族サロン「安全保障議員協議会」と(社)「日米平和・文化交流協会」をめぐる疑惑、そしてミサイル防衛の利権に食い込む三菱重工を筆頭とする防衛産業の深い闇を追い続けた。
「憂国」や「安保」の皮膜を引っ剥がすと、私欲に満ちた、無数の「守屋」や「秋山」たち、そしてスリーダイヤがうごめいていた。ここに描かれた「日米同盟」の真の姿をぜひとも読んでいただきたい。
続編も準備中ですので乞うご期待。
「憂国」と「腐敗」―日米防衛利権の構造
著者:田中 稔
販売元:第三書館
発売日:2009-03
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