遠藤顧問の歴史だよ!
十九回目 明治維新の謎
by 遠藤顧問
小見出し
誰もが明治維新を知っている?
武士の身分的自殺
「階級闘争」モデルでは説明できない明治維新
「体系的な説明」は、まだ行われていない
明治維新に関する司馬史観
誰も明治維新を説明できない?
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旧体制を破壊した明治維新の主体は、あくまでも武士であり、武士出身の政治指導者が“武士の身分と世禄の剥奪”という急進的変革を実行した。この史実は、西洋やシナの近代革命を考える際に、しばしば参照される「階級闘争」モデルとはずいぶん食い違っている。
「革命」を考える場合、我々は、不満を持った下層身分が上級身分に挑戦し、その特権を解体しようとするものと考えがちである。戦後の日本の歴史学者たちもその例に漏れず、幕末日本に「下からの変革要求と反乱」の痕跡を探し求めたが、失敗してしまった。我々はなお、従来の支配身分がなぜ、あっという間に自らを解体してしまったのかという謎の前にたたずんでいるのである。
この謎は単に「階級革命モデルに適合しない」という問題にとどまらない。これはそもそも“人間性”に反している。一体どこのエリートが自ら進んでその特権を放棄しようとするだろうか。
シナや朝鮮のエリートは、同様の国際環境にあっても、自らの理想を堅持し、それと不可分であった社会的特権にも疑いを抱かなかった。
もちろん、当初は日本の武士も、自らの統治身分としての役割を疑っていなかった。幕末10年間の政治的混乱の時代にあっても、武士がその身分を廃止しようと主張することはなかったのである。しかし王政復古後、わずか10年で、彼らにとっては“自殺”とも言える行為を抵抗なく受け入れたのである。彼らは、なぜ、そうしたのか?・・・・・・・・・(本文より)
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明治維新の謎 2009年5月24日