現在の歴史教育では、個々の時代の特色を学ぶことに重点が置かれ、時代を超えて連続性を持っていたものは何かを学ぶことが疎(おろそ)かになっているように思える。

 これまでみてきたように、中世の「職」の体系は平安時代の荘園制を否定するものではないし、近世国家の「役」の体系も、「役」が国家のための奉仕であるという性格を持つ点では、それ以前の旧国家の場合と連続していた。さらに、この点はのちの新国家(近代国家)にも連続していることは言うまでもないことであろう。
 また、幕府のトップである征夷大将軍という役職も、古代の律令国家以来のものであった。もちろん実力が最優先されるが、権力者は、古代からの長い歴史を持つ呼称に正統性が付与される、と判断していたのである。

 そして何よりも特筆すべきは、天皇である。

 「16世紀の天皇」でみたように、いつ消滅してもおかしくない状況にあっても、存続しているのである。政治的な実力の有無とは全く無関係に持続しているのである。それは2009年の今もなお・・・。

 歴史教育では、事実を教えなければならない。時代を超えて連続性を持っていたものは何か。やはり、それを学ぶことは、どの国の歴史教育にとっても、とても大切なことなのである・・・・・(本文〜より)


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時代を超えて連続するもの・・・「職」と「役」の体系 2009年7月12日