「伊藤博一の事件の眼」

第十九回 大物詐欺事件の背後に見え隠れした警視庁刑事



梗概:

・・・詐欺再生罪とは、民自再生手続き開始の前後に会社の財産を隠匿・譲渡するなどの手口で、債権者に対し不利益をもたらした場合に適用される民事再生法上の罪のこと。この法律が初適用され、逮捕者1号となったのは、2003年7月に名古屋地検特捜部に起訴された6100万円の流用事件の主役である2人の男だった。
 
 手渡された名刺の2枚には次のようにあった。
【警視庁碑文谷警察署 知能犯捜査係長 警部補○○○○】
【警視庁碑文谷警察署 知能犯捜査係主任 巡査部長○○○○】
 警部補が懸命に説得しているのは、ズバリ、次のような一点だ。
【検察庁に送検しても不起訴になる可能性が高いから、カネを取り戻した方がいい。そのためには告訴を取り下げろ】

 因果関係はハッキリしないが、一連の騒動は思わぬ一件に飛び火する始末。2003年7月4日、碑文谷署の中庭で、1人の警視(当時59)が遺書も残さず、拳銃自殺してしまったのだ・・・
 

伊藤博一プロフィール

昭和27年11月福岡県生まれ。大学院修士課程修了。
全国紙社会部退職後、経済誌、週刊誌、月刊誌、夕刊紙などで主に事件の取材、執筆活動を展開している。近年は「実話時報」(発行=竹書房)に「疾風怒涛の記者魂」を連載中。

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大物詐欺事件の背後に見え隠れした警視庁刑事 2010年9月9日