中山忠直の生涯 その3
中山忠直の初期作品を検証・多岐にわたる後の作品に影響
by 油井富雄
●ペンネーム中山啓の名で詩集・クロポトキンの翻訳
中山忠直の代表作は、売れた――という次元や社会的に影響度からいえば『漢方医学の新研究』ということができる。この一点において漢方史の中に名前を連ねることになる。
中山の著名入りで書いた原稿は、大正8年を皮切りに雑誌・新聞の寄稿、詩集、翻訳本、単行本、編著本など多数ある。著者として公刊された本だけを上げてもさまざまなジャンルに及んでいる。
中山忠直は本名だが、当初は中山啓(ひらく)のペンネームを使っていた。
大正11(1922)年、詩集『自由の廃墟』、大正13年には詩集『火星』を中山啓の名で出している。
以後は本名の忠直の名を使っている。
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