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中山忠直の生涯 その3

中山忠直の初期作品を検証・多岐にわたる後の作品に影響

 

 

by 油井富雄

 

 

ペンネーム中山啓の名で詩集・クロポトキンの翻訳

 

 中山忠直の代表作は、売れた――という次元や社会的に影響度からいえば『漢方医学の新研究』ということができる。この一点において漢方史の中に名前を連ねることになる。

 中山の著名入りで書いた原稿は、大正8年を皮切りに雑誌・新聞の寄稿、詩集、翻訳本、単行本、編著本など多数ある。著者として公刊された本だけを上げてもさまざまなジャンルに及んでいる。

 中山忠直は本名だが、当初は中山啓(ひらく)のペンネームを使っていた。

 大正11(1922)年、詩集『自由の廃墟』、大正13年には詩集『火星』を中山啓の名で出している。

 以後は本名の忠直の名を使っている。

 

中山2

 

 

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【昭和のマルチ人間・中山忠直の生涯】第2回

詩人・文筆業・漢方復興の功労者・民族主義者・芸術評論家

大宅荘一は「筆のちんどん屋」と名誉ある称号

 

 by 油井富雄


 ●15版を重ねた『漢方医学の新研究』

 詩人・漢方医学研究家、国家主義者、日本人・ユダヤ人同祖論者、芸術評論家、皇居移転論者……さまざまな肩書きを持っている中山忠直は、それぞれの関連の著作・新聞雑誌の記事、出版されずに終わった生原稿に目を通した。
 そのうち、最大の功績は、漢方医学復興に貢献したことだろう。この話から入ってみよう。
 『漢方医学の新研究』は、昭和2年2月、東京・日本橋にあった寶文館から発行された。その後改訂15版を重ね、昭和初期のベストセラーに数えられる。

新漢方

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