【昭和のマルチ人間・中山忠直の生涯】第2回
詩人・文筆業・漢方復興の功労者・民族主義者・芸術評論家
大宅荘一は「筆のちんどん屋」と名誉ある称号
by 油井富雄
●15版を重ねた『漢方医学の新研究』
詩人・漢方医学研究家、国家主義者、日本人・ユダヤ人同祖論者、芸術評論家、皇居移転論者……さまざまな肩書きを持っている中山忠直は、それぞれの関連の著作・新聞雑誌の記事、出版されずに終わった生原稿に目を通した。
そのうち、最大の功績は、漢方医学復興に貢献したことだろう。この話から入ってみよう。
『漢方医学の新研究』は、昭和2年2月、東京・日本橋にあった寶文館から発行された。その後改訂15版を重ね、昭和初期のベストセラーに数えられる。